斜披裂筋 Musculus arytenoideus obliquus

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J0739 (内側の喉頭筋:右側からの図)

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J0740 (喉頭筋:後方からの図)

解剖学的構造

斜披裂筋(musculus arytenoideus obliquus)は喉頭後部に位置する小型の内喉頭筋であり、披裂軟骨間を斜走する対をなす筋束として特徴づけられます。起始部は一側の披裂軟骨筋突起(processus muscularis cartilaginis arytenoideae)に位置し、対側の披裂軟骨尖端(apex cartilaginis arytenoideae)に向かって斜上方に走行します(Gray and Lewis, 2020)。この筋の一部線維は喉頭蓋外側縁に達し、披裂喉頭蓋ヒダ(plicae aryepiglotticae)の筋性構成要素を形成します(Standring, 2021)。

組織学的には、横紋筋線維から構成され、反回神経(nervus laryngeus recurrens)の運動枝による支配を受けます。筋線維の配列は横披裂筋(musculus arytenoideus transversus)と交差する形態を示し、両筋が協調することで声門後部の三次元的な閉鎖機構を構成します。

機能的特性

斜披裂筋の主要な機能は両側性収縮による披裂軟骨の内転運動です。この運動により声門裂(rima glottidis)、特にその後部(pars intercartilaginea)が閉鎖されます(Sataloff, 2022)。機能面では以下の役割を果たします:

臨床的意義

反回神経麻痺(paralysis nervi laryngei recurrentis)は斜披裂筋機能障害の最も重要な原因です。片側性麻痺では声門閉鎖不全による嗄声(dysphonia)が、両側性麻痺では重度の気道狭窄と誤嚥リスクの著明な上昇が認められます(Rubin et al., 2019)。

その他の関連病態として:

参考文献