後突起(鼻中隔軟骨の)Processus posterior cartilaginis septi nasi
解剖学的特徴
鼻中隔軟骨の後突起は、鼻中隔の後方部分を形成する軟骨性構造です。解剖学的には、鋤骨(vomer)と篩骨垂直板(perpendicular plate of ethmoid bone)の間に位置しており、これら二つの骨構造との接合部を形成します(Gray, 2020)。この突起の長さは個人差があり、発達が良好な場合は蝶形骨体(body of sphenoid bone)の前面に達することもあります(Netter, 2018)。
組織学的および発生学的特徴
組織学的には、硝子軟骨で構成されており、その表面は骨膜および軟骨膜(perichondrium)に覆われています(Ross and Pawlina, 2016)。発生学的には、胎生期の軟骨性頭蓋(chondrocranium)の一部から形成され、成長とともに周囲の骨構造との関係を確立していきます(Sadler, 2019)。
臨床的意義
臨床的意義としては、鼻中隔矯正手術(septoplasty)や鼻内手術において重要な指標となります(Stammberger and Hawke, 2014)。後突起の位置異常や過形成は鼻腔通気障害の原因となることがあり、また鼻中隔後方の偏位の矯正時には、この構造の適切な評価と処置が必要となります(Kim et al., 2017)。さらに、経蝶形骨手術(transsphenoidal approach)において、後突起は手術の解剖学的指標として利用されることがあります(Jane and Laws, 2001)。
参考文献
- Gray H. (2020) 『Gray's Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice』 42版 — 人体解剖学の標準的な教科書で、鼻中隔軟骨の詳細な解剖学的記述を提供している
- Jane JA, Laws ER. (2001) Neurosurgery Clinics of North America, 12(1), 57-64. — 経蝶形骨アプローチにおける解剖学的指標としての鼻中隔構造の役割について論じている
- Kim YH, Kim SS, Seo JH, et al. (2017) Journal of Rhinology, 24(1), 16-21. — 鼻中隔後突起の形態学的変異と臨床的意義に関する研究
- Netter FH. (2018) 『Atlas of Human Anatomy』 7版 — 詳細かつ正確な解剖学的図版を含み、鼻中隔の立体的構造の理解に役立つ
- Ross MH, Pawlina W. (2016) 『Histology: A Text and Atlas』 7版 — 軟骨組織の微細構造に関する詳細な情報を提供している
- Sadler TW. (2019) 『Langman's Medical Embryology』 14版 — 鼻中隔を含む顔面構造の発生過程について詳述している
- Stammberger H, Hawke M. (2014) 『Essentials of Functional Endoscopic Sinus Surgery』 — 鼻内手術における解剖学的指標としての後突起の重要性について解説

J1070 (粘膜なしの鼻中隔:左方からの図)