主膵管 Ductus pancreaticus

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J0693 (十二指腸の下行部の粘膜)

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J0713 (肝臓と膵臓の排出路:正面からの図)

主膵管(Ductus pancreaticus)はウィルスング管(Wirsung's duct)とも呼ばれ、膵臓の主要な導管系です(Standring, 2020)。解剖学的には膵尾部から膵頭部まで膵実質内を走行し、最終的に大十二指腸乳頭(Vater's papilla)から十二指腸内腔へと開口します(Gray et al., 2020; Netter, 2019)。成人の主膵管の直径は頭部で3-4mm、体部で2-3mm、尾部で1-2mm程度で、全長約15-20cmに及びます(Prasanna et al., 2015)。主膵管は膵実質の長軸に沿って走行し、約20-30本の小葉間導管が直角に合流して樹枝状の導管系を形成します(Skandalakis et al., 2018)。

発生学的特徴

発生学的には、膵臓は二つの原基から形成されます(Moore et al., 2019; Sadler, 2018):

胎生7週頃に十二指腸の回転により腹側膵芽が背側に移動し、腹側膵と背側膵が融合します(Moore et al., 2019)。背側膵の導管(サントリーニ管)は途中でウィルスング管に吻合して合流し、この合流した導管が主膵管となり、大十二指腸乳頭へと開口します(Sadler, 2018)。サントリーニ管の遠位部は細くなり副膵管(Ductus pancreaticus accessorius)として小十二指腸乳頭(乳頭上部約2cmの位置)へ開口します(Standring, 2020)。ただし、約30%の症例では副膵管が退化して認められないことがあります(Skandalakis et al., 2018)。発生異常として、腹側膵と背側膵の融合不全による膵分割(pancreas divisum)が約5-10%に認められ、これは急性再発性膵炎のリスク因子となります(Fogel et al., 2007)。

組織学的特徴

組織学的には、主膵管は単層円柱上皮で覆われており、粘液分泌細胞を含みます(Ross and Pawlina, 2021; Mescher, 2018)。上皮細胞は頂端部に微絨毛を有し、基底側には基底膜が存在します。膵管壁は内側から順に、粘膜層(上皮と固有層)、平滑筋層、外膜から構成されます(Young et al., 2020)。平滑筋線維は主に輪状に配列し、導管の収縮性を提供します(Kierszenbaum and Tres, 2019)。膵管系は階層的に細分化し、主膵管→小葉間導管→小葉内導管→介在導管→腺房内導管→中心腺房細胞へと連続し、最終的に外分泌腺房から膵酵素が分泌されます(Ross and Pawlina, 2021)。中心腺房細胞は重炭酸イオンに富む膵液を分泌し、膵酵素の活性化を防ぎます(Mescher, 2018)。

臨床的意義

主膵管の病理学的状態は様々な膵疾患と関連しています:

解剖学的関係

膵管と総胆管の関係:主膵管と総胆管(ductus choledochus)は大十二指腸乳頭で合流し共通管(膨大部、ampulla of Vater)を形成する形態が最も一般的(約70%)ですが、それぞれ別々に開口する解剖学的変異も存在します(Mortelé et al., 2004; Kamisawa et al., 2009)。共通管の長さは平均4-6mmで、共通管が長い(8mm以上)場合は胆汁と膵液の相互逆流が生じやすく、胆石性膵炎や膵胆管合流異常症のリスクとなります(Kimura et al., 1995)。この解剖学的関係は、胆石性膵炎の病態や、ERCPでの選択的膵管造影の難易度に影響します(Freeman et al., 2001)。Oddi括約筋は共通管を取り囲み、膵液と胆汁の十二指腸への流出を調節します(Hogan et al., 2009)。