肝円索

肝円索は、胎生期の臍静脈(胎盤から臍帯を通じて肝臓に至り、静脈管を経て下大静脈に流入する)の遺残である線維索です。これは臍から肝臓の下縁に至り、肝臓の下面で肝門の左側(肝円索裂)を通ります。肝円索と一緒に、細い静脈(臍傍静脈vv. paraumbilicales)が存在します。この小さな静脈は、一方では門脈と、もう一方では臍輪を経由して前腹壁の皮下静脈と交通しています。そのため、肝硬変や門脈閉塞で門脈循環が障害されると、これが側副路として機能することがあります。

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

肝円索の異常

肝臓の位置と形状が正常であっても、右葉に肝円索が存在することがあります。これは内臓逆位や腸管回転異常とは異なります。超音波検査の4500例中、5例(0.1%)で見られます。肝内門脈の右前区域枝には臍部が存在し、そこに肝円索が付着しています。左側に胆嚢が伴います(松本、1986)。

肝円索裂はしばしば肝実質または結合組織によって埋められます(実質性架橋または結合組織架橋)。実質性架橋は原始的状態とされ、日本では22-30%で認められます(田中ら、1966)。