直腸横ヒダ

直腸横ヒダはヒューストン弁とも呼ばれ、直腸内に複数存在し、ヒューストン襞とも呼ばれます。通常、側壁に横走する3本のヒダがあります。その中でもっとも大きいものは、肛門の上方約6cmのところに右壁から出ており、これをコールラウシュ(Kohlraush)ヒダと呼びます。他のヒダは左壁から出ています。1830年にアイルランドの内科医ジョン・ヒューストン(John Houston, 1802-1845)によって報告されました。「コールラウシュ襞」とは、ヒューストン弁群の中央にあり、特に著しいヒダを指します。これはドイツの医師オットー・ルドウィヒ・ベルンハルト・コールラウシュ(Otto Ludwing Bernard Kohlraush, 1811-1854)にちなんで名付けられました。

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

田原(1966)によると、解剖体の60%以上が3枚の直腸弁を持ち、それぞれ肛門縁から7cm、9cm、13cmの位置に多く見られます。弁が無い例や5枚の弁を持つ例もまれに存在します。橋本(1960)は、胎児の直腸横ヒダを調査し、成人と同様の枚数分布(2-4枚)を示しました。ヒダには左右差が無く、また仙骨との接着部では明らかに少ないです。所謂コールラウシュR (Kohlrausch)を最大の直腸横ヒダと定義すると、3枚の中央のヒダで、左右差は認められません。直腸柱は8-11本存在し、長さは1.9 cmで、性差はありません(宮島・西尾, 1936)。