腸腺(小腸の)Glandulae intestinales tenuis

基本構造と分布

小腸の腸腺はリーベルキューン陰窩(Crypts of Lieberkuhn)とも呼ばれ、小腸粘膜の上皮が陰窩状に陥入した管状腺構造です(Ross and Pawlina, 2020)。腸絨毛の間に開口し、その長さは約0.3〜0.5mmで、十二指腸から回腸まで小腸全体に分布しています。

組織学的特徴

組織学的には、腸腺は単層円柱上皮で覆われており、以下の細胞タイプを含みます:

生理学的機能

腸腺は上皮細胞の再生の源であり、幹細胞から分化した細胞が腸絨毛へと移動することで、約4〜5日で小腸上皮全体が更新されます(van der Flier and Clevers, 2009)。また、腸腺からは消化液の分泌も行われています。

臨床的意義

炎症性腸疾患やセリアック病などでは腸腺の形態異常が見られ、腸管免疫や消化吸収機能に影響します(Neurath, 2019)。また、小腸腺癌の発生母地としても重要です。

参考文献