小腸の腸絨毛は、小腸の粘膜表面がビロード状ないしはベルベット状に見える構造です。これは小腸粘膜の指状ないし葉状の小突起(長さ0.5-1.5mm)によるものです。腸絨毛の形態は、小腸の各部位によってわずかに異なり、一般に、十二指腸を含む小腸の上部では幅広い葉状を呈し、下部では指状を呈します。回腸下端では、腸絨毛は短く、まばらになり、大腸には存在しません。 腸絨毛は、組織学的には、粘膜上皮が粘膜固有層によって管腔壁へ押し上げられた構造になっています。腸絨毛の芯をなす粘膜固有層には、絨毛の尖端付近で盲端に終わるリンパ管(中心乳糜管central lacteal)や有窓毛細血管網が認められます。また、腸絨毛間には、上皮の陥入部位である腸陰窩(リーベルキューン腺)があります。腸陰窩の深さは300~500μmあり、十二指腸ではブルンナー腺Brunner's gland(十二指腸腺duodenum gland)がその底部に開口しています。腸陰窩は、緻密な配列はせず、陰窩の間は粘膜固有層の結合組織によって埋められています。腸陰窩は、外分泌機能以外に、上皮細胞の分裂・増殖の場としても機能します。