絨毛様ヒダ(胃の)Plicae villosae gastricae

1. 解剖学的構造

胃の絨毛様ヒダ(Plicae villosae gastricae)は、胃粘膜表面に存在する微細な上皮性のヒダ構造です。これらは腺口(胃腺の開口部)の間に位置し、肉眼では観察できないほど微小な構造となっています(Kato et al., 2018)。

解剖学的には、胃粘膜は単層円柱上皮で覆われており、この上皮層が折りたたまれることで絨毛様ヒダを形成しています。胃の粘膜は4つの主要層(表層上皮細胞層、胃小窩層、胃腺層、粘膜筋板)から構成されており、絨毛様ヒダは主に表層上皮と胃小窩の部分に形成されます(Yamada and Alpers, 2019)。

2. 分布と機能

この微細なヒダ構造は、胃の領域によって異なる特徴を示します。幽門部では比較的密に分布し、胃体部や噴門部ではより疎に配置されています(Noguchi et al., 2020)。これらのヒダは粘液分泌面積を増大させ、胃の防御機能を高める役割を果たしています。

3. 臨床的意義

臨床的には、慢性胃炎や胃潰瘍などの炎症性疾患において、この絨毛様ヒダの構造が変化することが知られています(Tanaka and Suzuki, 2021)。また、内視鏡的拡大観察や狭帯域光観察(NBI)などの先進的な検査技術により、これらの微細構造の異常を早期に検出することが可能となり、胃癌などの早期診断に貢献しています(Yao et al., 2022)。

参考文献

J691.png

J0691 (幽門部の胃粘膜)