胃 Gaster; Ventriculus

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J0620 (門脈の分岐:腹面図)

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J0635 (消化管のやや模式的な概観図)

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J0686 (胃ほとんど空:正面からの図)

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J0687 (胃の筋層(浅層):前方からの図)

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J0688 (胃の筋層:前方から見た中層と深層)

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J0689 (胃の内壁:前壁が切断されて、後壁の粘膜が見える図)

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J0690 (幽門部の胃粘膜)

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J0691 (幽門部の胃粘膜)

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J0717 (腹部内臓:前方からの図)

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J0718 (小腸:正面からの図)

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J0720 (大腸と腸間膜の根:前方からの図)

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J0721 (小網:前方からの図)

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J0722 (網嚢:前から開けられた図)

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J0727 (男性の正中矢状断での腹膜の経過:赤色、やや模式的に示している)

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J0924 (胸腔および腹腔にある左迷走神経:左側からの図)

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J0978 (交感神経の腹部神経叢:前面からの図)

概要

胃は食道と十二指腸の間に位置する消化管の拡張部で、J字型または洋梨状の形態を呈します(Gray and Standring, 2023)。解剖学的には横隔膜直下、左季肋部から上腹部に位置し、容積約1.0~1.5Lの中空臓器です。日本人の胃容量は男性平均1,407.5ml、女性平均1,270.5mlとされています(村上, 2000)。生体では内容物充填度、体位、機能状態により形状が著しく変化し、空虚時は扁平で、充満時は拡張します。死後は筋緊張の消失により特徴的なウシの角状となります。

解剖学的位置

胃の解剖学的位置関係は、上端(噴門)が左第5肋間(T10-11レベル)、下端(幽門)が空虚時には臍から3横指上方(L1レベル)に位置します(Moore et al., 2022)。前面は腹壁、左葉肝臓、横隔膜に、後面は膵臓、脾臓、左腎に接しています。CT・MRIでは胃の位置を正確に同定するための重要な指標となります。

解剖学的区分

胃は以下の解剖学的区分から構成されます:①噴門部(食道胃接合部)、②胃底部(横隔膜に接する上部領域)、③胃体部(主要部分)、④胃角(小弯の屈曲部)、⑤幽門部(前庭部と幽門管からなる)、⑥幽門(十二指腸との境界)(Drake et al., 2020)。臨床的には大弯と小弯に区分され、特に小弯側は胃癌の好発部位として重要です。

組織学的構造

胃壁は4層構造を呈します。最外層は漿膜(腹膜由来)で、小網・大網として連続します。筋層は3層の平滑筋(外縦走筋、中輪走筋、内斜走筋)からなり、特に幽門部では輪走筋が発達し幽門括約筋を形成します(Young et al., 2021)。この括約筋は胃内容物の十二指腸への排出を調節し、逆流を防ぎます。粘膜下層は豊富な血管・神経叢を含み、最内層の粘膜は単層円柱上皮と固有腺で構成されます。

粘膜の特徴

胃粘膜は部位により特徴的な構造を示します。噴門腺領域(食道胃接合部周囲)、胃底腺領域(胃体部・胃底部を含む約80%)、幽門腺領域(幽門部の約20%)に分類されます(Mescher, 2021)。胃底腺には特殊な分泌細胞が存在し、主細胞(ペプシノゲン分泌)、壁細胞(塩酸分泌)、副細胞(粘液分泌)、内分泌細胞(ガストリンなどのホルモン分泌)に分化しています。収縮時には多数の縦走するヒダ(rugae)が特徴的で、粘膜表面には無数の小窩(胃小窩)が開口し、その底部に固有胃腺が集合しています。胃粘膜は約2~3mmの多角形区画(胃小区)を形成し、これらが内視鏡検査での正常粘膜評価の指標となります。

臨床的意義

臨床的に重要な点として、胃は豊富な血管支配を受けており、左胃動脈(腹腔動脈由来)、右胃動脈(総肝動脈由来)、左胃大網動脈(脾動脈由来)、右胃大網動脈(胃十二指腸動脈由来)からなる2つの動脈弓を形成します(Sinnatamby, 2023)。胃癌手術では、これらの血管走行と所属リンパ節の理解が不可欠です。神経支配は交感神経(T6-10)と副交感神経(迷走神経)の二重支配を受け、特に迷走神経は胃酸分泌と蠕動運動の調節に重要な役割を果たします(Netter, 2022)。

参考文献

書籍