胃は、食道と十二指腸の間に位置し、洋梨状の形状をしています。胃液を分泌し、食物を消化する役割を果たします。日本人の胃の容量は、男性が平均1,407.5 ml、女性が平均1,270.5 mlとされています。死亡した場合、胃は一般的にウシの角のような形状になりますが、生体では内容物の充填度、体位、機能状態により形状が大きく変化します。

胃の位置は、上端が左第5肋間、下端が空虚時には臍から3横指上方にあるとされています。大部分は左下肋部と上腹部に位置しています。胃は次の部分から構成されています:①噴門部(十二指腸が胃に続く部分)、②幽門(胃と十二指腸の境界)、③幽門部(胃体と幽門部の間にある比較的細い部分)、④胃体(噴門と幽門部の間で胃の広い部分)。

胃壁は、腹膜の一部である漿膜に覆われており、小網および大網表層へと移行します。筋層は平滑筋で構成され、外層は縦走筋、中層は最も発達した輪走筋で、食道の内層筋から発して胃体を斜走し、胃底では輪走します。幽門部では中輪筋が特に発達し、幽門括約筋となります。

胃の内面は胃粘膜で覆われており、収縮時には多数の縦走するヒダが見られます。粘膜の表面には、小さい陥凹(胃小窩)が多数見られ、その底部に固有胃腺が数個ずつ開口します。胃粘膜は、約2~3mmの直径の多角形に区画され、これを胃小区と称します。固有胃腺を構成する細胞には、主細胞、傍細胞、副細胞があります。幽門腺は、幽門部に位置する分枝単一管状胞状腺です。

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J0686 (胃ほとんど空:正面からの図)

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J0687 (胃の筋層(浅層):前方からの図)

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J0688 (胃の筋層:前方から見た中層と深層)

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J0689 (胃の内壁:前壁が切断されて、後壁の粘膜が見える図)

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J0690 (幽門部の胃粘膜)

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J0691 (幽門部の胃粘膜)

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

(1)区分