正中舌喉頭蓋ヒダ Plica glossoepiglottica mediana

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J0659 (舌:上方からの図)

定義と解剖学的特徴

正中舌喉頭蓋ヒダは、舌根(舌の後方部分)と喉頭蓋(食道と気管を分ける軟骨)の間に存在する正中線上の不対の粘膜ヒダです(Standring, 2020; Moore et al., 2018)。この構造は口腔から咽頭への移行部に位置し、両側に存在する側方舌喉頭蓋ヒダ(plicae glossoepiglotticae laterales)とともに喉頭蓋谷(vallecula epiglottica)を形成します(Drake et al., 2019; Netter, 2019)。喉頭蓋谷は、嚥下時に食塊が一時的に貯留する解剖学的な空間として機能します(Logemann, 1998)。

組織学的には、正中舌喉頭蓋ヒダは重層扁平上皮で覆われた粘膜構造であり、粘膜下には弾性線維と疎性結合組織が存在します(Ross & Pawlina, 2020)。この粘膜は舌根部の粘膜が喉頭蓋の前面(舌面)へと連続する部分に位置しており、舌骨舌筋(hyoglossus)の一部が付着する部位でもあります(Sinnatamby, 2011)。血管支配は舌動脈の枝である背側舌動脈および上喉頭動脈から受けており、静脈還流は舌静脈および咽頭静脈叢を介して行われます(Gray & Standring, 2020)。神経支配は、感覚神経として舌咽神経(CN IX)が関与しています(Snell, 2018)。

臨床的意義

正中舌喉頭蓋ヒダは以下の点で臨床的に重要です:

また、この部位は舌扁桃(lingual tonsil)の一部と近接しており、炎症時(例:急性舌扁桃炎)には周囲組織への波及が見られることがあります(Dworkin et al., 2021; Brook, 2013)。耳鼻咽喉科領域では、この構造を含む喉頭蓋周囲の詳細な観察が、感染症、腫瘍、外傷などの診断に重要です(Bailey et al., 2014)。

参考文献