横舌筋 Musculus transversus linguae

J0662 (新生児の舌を正中付近で矢状断した図)

J0663 (新生児の舌体を通る冠状断)

J0664 (新生児の舌の先端を通る冠状断)
解剖学的特徴
- 舌内筋の一つで、縦走線維系(上縦舌筋・下縦舌筋)の間を横断する筋線維束から構成され、舌の形態変化と運動制御において中心的な役割を果たす (Standring, 2020; Abd-El-Malek, 1939)
- 起始:舌中隔(septum linguae)— 舌の正中線を走る線維性結合組織構造 (Drake et al., 2020)
- 走行:舌中隔から両側に向かって放射状に走行し、舌の幅を横断する (Gilbert, 1957)
- 停止:舌の側縁の粘膜下組織および舌縁の結合組織 (Takemoto, 2001)
- 配列:主に横方向(水平面)に筋線維が配列し、垂直舌筋や縦舌筋と三次元的な筋格子構造を形成 (Smith et al., 2013)
- 筋束構造:複数の筋束が層状に配列し、上縦舌筋と下縦舌筋の間を占める (Miyawaki, 1974)
組織学的特徴
- 横紋筋線維で構成され、タイプI線維(遅筋)とタイプII線維(速筋)が混在する (Young et al., 2019; Saigusa et al., 2001)
- 豊富な神経支配:運動終板密度が高く、精密な運動制御が可能 (Mu and Sanders, 2010)
- 血液供給:舌動脈(外頸動脈の枝)から豊富な血流を受け、高い代謝活性を維持 (Standring, 2020)
- 運動神経支配:舌下神経(第XII脳神経)が舌筋群全体を支配し、横舌筋にも分枝を送る (Mu and Sanders, 2010; Dostrovsky et al., 2000)
- 感覚神経支配:舌神経(三叉神経第3枝の分枝)が舌前方2/3の感覚を担当 (Moore et al., 2018)
- 筋線維の特性:持久力と瞬発力の両方を要求される機能に適応した線維構成 (Happak et al., 1997)
機能
- 収縮時:舌を幅径方向(左右方向)に狭め、その結果として舌の厚さ(垂直方向)と長さ(前後方向)を増加させる — 水風船を側方から圧迫すると上下・前後に膨らむ原理と同様 (Mu and Sanders, 2010; Stone and Lundberg, 1996)
- 垂直舌筋(舌を薄く平坦にする)と協調して作用することで、舌を前方に突出・伸長させる運動を実現 (Takemoto, 2001; Miyawaki, 1974)
- 食物の移送や嚥下の際に舌の形状を動的に変化させ、食塊形成と咽頭への送り込みを促進 (Palmer et al., 1992; Hiiemae and Palmer, 2003)