茎突舌筋 Musculus styloglossus
茎突舌筋は、外舌筋群に属する重要な筋肉です(Drake et al., 2020)。以下、その解剖学的特徴と臨床的意義について詳述します。
1. 解剖学的特徴
1.1 起始と停止
- 起始:茎状突起の前外側面および茎突下顎靱帯(Standring, 2021)
- 茎状突起は、側頭骨から突出する細長い骨性突起です。
- 茎突下顎靱帯は、茎状突起と下顎角を結ぶ靱帯です。
- 停止:
- 舌縁部から舌尖に向かって縦走します(Netter, 2019)。
- 舌体内では、横舌筋(内舌筋)の線維と密接に絡み合います。
1.2 走行と構造
- 口蓋咽頭弓のレベルで、前内下方に走行します(Moore et al., 2023)。
- 舌体部では、横舌筋と複雑に交錯します。
- 筋線維は、主に縦走性の配列を示します(Sinnatamby, 2021)。
2. 機能と臨床的意義
2.1 主な機能
- 舌の後方および上方への牽引をします(Netter, 2019)。
- 舌根部を挙上し、咽頭腔を狭小化させます(Johnson and Smith, 2021)。
- 嚥下運動の第二相(咽頭相)に関与します(Leopold and Kagel, 2022)。
2.2 臨床的重要性
- 嚥下障害との関連:
- 茎突舌筋の機能不全により、嚥下困難を引き起こす可能性があります(Leopold and Kagel, 2022)。
- 脳卒中後の仮性球麻痺では、機能低下に注意が必要です(Johnson and Smith, 2021)。
- 神経支配:
- 舌下神経(第XII脳神経)による運動支配を受けます(Sinnatamby, 2021)。
- 舌下神経麻痺により、機能障害が出現します(Wilson et al., 2023)。
茎突舌筋は、嚥下、発話、および舌の随意運動において重要な役割を果たしています。その機能障害は、様々な臨床症状を引き起こす可能性があります(Wilson et al., 2023)。
3. 参考文献