糸状乳頭 Papillae filiformes

1. 基本的特徴

糸状乳頭は舌体の背面全域にわたって密在する円錐状の乳頭です。舌の表面に最も多く存在する乳頭として特徴づけられ、以下の形態的特徴があります(Ross and Pawlina, 2019):

2. 組織学的構造

糸状乳頭の微細構造には以下の特徴があります(Mescher, 2018):

3. 機能的役割

  1. 機械的機能:舌背表面にザラザラとした質感を与え、食物の移動や操作を補助します(Nanci, 2017)
  2. 感覚機能:豊富な神経終末により触覚および圧覚を伝達します(Iwasaki, 2002)
  3. 防御機能:角化した上皮は物理的バリアとして機能し、微生物の侵入や化学的刺激から舌組織を保護します(Squier and Kremer, 2001)

4. 臨床的意義

糸状乳頭は様々な口腔内疾患の診断指標となります(Reamy et al., 2010):