下面[舌の]Facies inferior linguae

J667.png

J0667 (舌の下側と周囲、舌先を上げた状態の図)

1. 解剖学的特徴

舌の下面は、薄く平滑な粘膜で覆われています。組織学的には、この粘膜上皮は非角化性または軽度角化性の重層扁平上皮で構成され、上面と異なり乳頭構造や味蕾は存在しません(Standring, 2021)→Gray's Anatomy第42版。舌背部の粘膜上皮が糸状乳頭・茸状乳頭・葉状乳頭・有郭乳頭などの特殊な構造を持つのに対し、舌下面の粘膜は比較的単純な構造を呈します(Nanci, 2018)→Ten Cate's Oral Histology第9版、口腔組織学の標準的教科書。粘膜下には豊富な血管・神経網と少量の唾液腺(小舌下腺、glandulae sublinguales minores)が分布しており、これらの腺組織は粘液性唾液を分泌します(Holmberg and Hoffman, 2014)→唾液腺の解剖学的研究。

2. 舌小帯(frenulum linguae)

舌下面の正中線上には、舌尖から口腔底に向かって走行する三角形または鎌状の粘膜ヒダである舌小帯が存在します(Mills et al., 2019)→舌小帯の詳細な解剖学的研究。この構造は舌と口腔底を連結し、舌運動の支点として機能します。舌小帯の長さは個体差が大きく、新生児では平均10〜15mm程度ですが、成人では短縮して見えることがあります(Kotlow, 2015)→舌小帯の分類と評価法。

3. 舌深静脈(V. profunda linguae)

舌小帯の両側では、薄い粘膜を通して青紫色の舌深静脈が透見されます(Drake et al., 2020)→Gray's Anatomy for Students第4版。これは舌底部から舌尖部まで走行する主要な静脈で、舌の静脈還流の大部分を担います。舌深静脈は舌の下面を比較的表層に走行するため、粘膜を通して容易に観察できます(Standring, 2021)→舌の静脈系の解剖。

4. 采状ヒダ(plica fimbriata)

舌深静脈の外側には、舌縁に向かって放射状に広がる鋸歯状の粘膜隆起である采状ヒダが観察されます(Norton, 2017)→Netter's Head and Neck Anatomy for Dentistry第3版。采状ヒダは左右に1対存在し、個体差が大きく、明瞭に認められるものから痕跡的なものまで様々です(Bath-Balogh and Fehrenbach, 2011)→歯科専門職のための口腔解剖学。

5. 解剖学的関連構造