舌 Lingua

J0659 (舌:上方からの図)

J0660 (舌筋:右側からの図)

J0661 (舌の深層筋:右側からの図)

J0662 (新生児の舌を正中付近で矢状断した図)

J0663 (新生児の舌体を通る冠状断)

J0664 (新生児の舌の先端を通る冠状断)

J0665 (糸状乳頭:表面からの図)

J0666 (有郭乳頭:表面からの図)

J0667 (舌の下側と周囲、舌先を上げた状態の図)

J0668 (粘膜を取り除いた後の舌の下面と周囲、舌の先端が上がっている図)

J0913 (下顎神経の分岐、深層:右方からの図)
解剖学的および臨床的特徴
舌は口腔内に位置する筋性器官であり、咀嚼、嚥下、構音、味覚において中心的な役割を果たします(Standring, 2021; Gray and Lewis, 2023)。以下、その詳細な解剖学的構造と臨床的意義について述べます。
1. 基本構造
- 舌体(corpus linguae):舌の前方2/3を占める可動性の高い部位で、口腔底から自由に動き、咀嚼と構音に不可欠です(Netter, 2021; Drake et al., 2023)。
- 舌尖(apex linguae):舌の最前端部であり、最も可動性が高く、微細な運動制御が可能です(Moore et al., 2022)。
- 舌根(radix linguae):舌の後方1/3を占め、舌骨および咽頭壁と連結する固定部位であり、嚥下運動に重要な役割を果たします(Standring, 2021)。
2. 表面構造
- 舌背(dorsum linguae):舌の上面で、正中には舌正中溝が走行し、後方にはV字形の終末溝(分界溝、sulcus terminalis)が存在します。この溝は舌体と舌根の境界を示します(Gray and Lewis, 2023)。
- 舌背孔(foramen caecum):終末溝のV字頂点に位置する小さな陥凹で、胎生期の甲状舌管の痕跡です。この構造の遺残により甲状舌管嚢胞が形成されることがあり、臨床的に重要です(Moore et al., 2022; Berkovitz et al., 2022)。
- 舌縁(margo linguae):舌の外側縁で、歯列弓に接し、咀嚼時に食物を歯列内に保持する役割を担います(Drake et al., 2023)。
- 舌小帯(frenulum linguae):舌下面と口腔底を連結する粘膜のひだです。舌小帯短縮症では舌の可動性が制限され、構音障害や哺乳障害の原因となります(Moore et al., 2022)。
3. 粘膜構造と乳頭
舌背の粘膜には4種類の乳頭が分布し、それぞれ異なる機能を持ちます(Berkovitz et al., 2022; Standring, 2021):
- 糸状乳頭(filiform papillae):最も数が多く、舌背全体に分布します。味蕾を持たず、主に機械的受容と食物の把持に関与します(Berkovitz et al., 2022)。
- 茸状乳頭(fungiform papillae):舌尖および舌縁に散在し、味蕾を含みます。甘味、塩味、酸味、苦味の感知に関与します(Drake et al., 2023)。
- 葉状乳頭(foliate papillae):舌の外側後方縁に位置し、味覚受容に関与します。ヒトでは退化傾向にあります(Standring, 2021)。
- 有郭乳頭(circumvallate papillae):終末溝の前方に7~12個が逆V字状に配列する大型の乳頭で、多数の味蕾を含み、味覚の中枢的役割を果たします(Gray and Lewis, 2023)。
- 舌扁桃(lingual tonsil):舌根部後方に位置するリンパ組織で、Waldeyer咽頭輪の一部を構成し、免疫防御において重要な役割を果たします(Moore et al., 2022)。