口唇腺

口唇腺は、口唇の粘膜下組織に散在する粘液腺です。古典的には混合腺と考えられていました。

日本人のからだ(島田和幸 2000)によると

並木(1959)は成人189体を、入江(1961 a)は成人65体を用いて口唇腺の形態について調査しました。さらに、入江(1961 b)は5-10ヵ月の胎児184体を用いて調査を行っています。成人では、上唇部(上唇腺;並木、1959)は左右に分離した2つの腺群から成り、左右長が35mm、上下長が17mmで、直角三角形(24.4%)または不正五辺形(20.9%)とされています。その外側端は第2小臼歯(24.3%)、第1大臼歯(24.4%)まで広がっています。一方、下唇部(下唇腺)は左右が連続した一つの大きな腺体から成り、左右長は79mm、上下長は16mmで、両端が鈍な形態(55.4%)を示します。その外側端は第1大臼歯(65.4%)まで広がっています。また、胎児では、腺葉は上唇と下唇の両方で左右に分離しています。胎生5ヵ月では左右長が約6mm、上下長が約2mmで、成長に伴って月齢ごとに左右長が約3mm、上下長が約0.5-1mmずつ増加すると報告されています(入江、1961 b)。

口唇腺の開口部については、上唇部には50-100個、下唇部には40-80個存在するとされています。また、これらは上唇では口角のやや内方、下唇では正中部のやや遠心側に多いと報告されています(並木、1959)。