腱鞘と滑液包は、腱や筋、靭帯、骨、皮膚間の摩擦を減少させ、滑走路を確保する滑膜性の構造である。腱鞘は腱の栄養や位置安定を担い、滑液包は圧迫部位でクッションとして機能する。腱鞘は二重構造で、線維層と滑膜層から成り、腱間膜を介して血管や神経が供給される。滑液包は関節との交通があり、腱や筋の摩擦を軽減する。病態には肩や指の炎症、腱鞘炎、滑液包炎などがあり、臨床的に重要な役割を果たす。
腱鞘(tendon sheath/vagina tendinis)と滑液包(bursa synovialis)は、腱・筋・靭帯・骨・皮膚などの相互の摩擦を低減し、運動を反復しても組織損傷が生じにくい環境(滑走路)を提供する滑膜性の袋状構造である(Standring, 2021; Moore et al., 2022)。
腱鞘は一般に**外層(線維層/fibrous sheath)と内層(滑膜層/synovial sheath)**の二重構造をとる(Standring, 2021)。
線維層(fibrous layer):密性結合組織からなり、周囲の骨膜・支帯・深筋膜などに連続して腱鞘を固定する。指屈筋腱の線維性腱鞘は**腱輪(pulleys)**として機能し、腱の浮き上がりを防いで効率的な屈曲トルクを維持する(Moore et al., 2022)。
滑膜層(synovial layer):滑膜細胞が滑液を分泌し、腱表面の滑走抵抗を低減する。内層はさらに、
に分かれ、両者は反転部で連続する(Standring, 2021)。
壁側葉と臓側葉が互いに接近・癒合する部分は、腱へ血管・神経が進入する“橋”として働き、これを**腱間膜(mesotendon)**と呼ぶ(Standring, 2021)。
滑膜性腱鞘を持たない腱は、周囲を**paratenon(疎性結合組織性の傍腱組織)**で包まれ、ここを介して滑走と栄養供給が行われる(Benjamin et al., 2008)。
滑液包は滑膜で裏打ちされた小嚢で、内容として少量の滑液を持つ(Standring, 2021)。