背側骨間筋

足の背側骨間筋は各2頭を持ち、全ては中足骨対向面および長足底靭帯から起始します。背側骨間筋は基節骨底に終止し、第2趾がこれらの筋の対称線となります。筋腱線維が趾背腱膜へ放散することはほとんどありません。背側骨間筋の終止腱の一部は第2〜4趾の趾背腱膜展開部にも伸びます。外側足底神経の趾背を受けるこれらの筋の収縮により、各趾が外転し、第2〜4趾における中足趾節関節の屈曲と趾節間関節の伸展が得られます。個々の背側骨間筋が隣接する2本の中足骨より起始するため、この筋の収縮は中足骨を寄せ集めて前足部の構造の安定性を高めます。

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

足の筋は足背の筋と足底の筋に分けられます。足背の筋(図63)は、足根骨から起こり指の骨に至る短い筋で、下腿伸筋の停止腱に覆われています。

足背の筋は主に、足の背側骨間筋と短母指伸筋を指します。足の背側骨間筋は各々2頭を持ち、全ての中足骨対向面および長足底靭帯から起こります。これらの筋の収縮により、第2趾を中心に各趾が外転し、第2〜4趾における中足趾節関節の屈曲と趾節間関節の伸展が可能となります。短母指伸筋は踵骨前部の背面から起始し、母指基節骨底に停止します。

063.png

図63 足背の筋を足背側からみたところ(右側)

図63 足背の筋を足背側からみたところ(右側)

Eb: 短母指伸筋と短指伸筋、Edl: 長指伸筋、Ehl: 長母指伸筋、Id: 背側骨間筋、Peb: 短腓骨筋、Pet: 第三腓骨筋、Rei: 下伸筋支帯、Ta: 前脛骨筋

全ての筋は第1から第5中足骨の相対する面から始まり、深横中足靭帯の背側を経由して前方へ進みます。第1背側骨間筋は第2趾基節骨底内側部に、第2から第4背側骨間筋は第2から第4趾基節骨底外側部に止まります。これらの筋は趾を開く働き(外転作用)を持ちます。底側骨間筋と同様に、趾背腱膜や中足趾節関節の関節包に止まる副束が大部分に存在します(図65) (Oukouchi et al., 1992)。

第1背側骨間筋は、外側足底神経からの支配枝の進入部位で外側と内側の二部に分けられることが多い(Akita et al., 1999)。町田(1959)によると、第2背側骨間筋については、始まる部位や終止部位に変異があります。また、第3および第4背側骨間筋については、それぞれ第4および第5趾基節骨底内側部にも止まる例が存在します。

支配神経は、外側足底神経深枝です。第1背側骨間筋は、ほとんどの例で深腓骨神経からも枝を受けています(Akita et al., 1999)。

065.png

図65 足の第3指の指背腱膜(右側)(Oukouchi et al., 1992改変)

図65 足の第3指の指背腱膜(右側)

大きな矢印:虫様筋が指背腱膜に停止します。 小さな矢印:虫様筋が基節骨底に停止します。 大きな矢印:骨間筋が基節骨底に停止します。 小さな矢印:骨間筋が指背腱膜に停止します(翼状腱)。 Da:指背腱膜、Dp:末節骨、D3:第3背側骨間筋、Eb:短指仲筋、EI:長指伸筋、L2:第2虫様筋、Lt:長指仲筋の外側停止腱束、Mb:中足骨、Mp:中節骨、Mt:長指伸筋の内側停止腱束、PI:第1底側骨間筋、Pp:基節骨、TI:深横中足靭帯、Wt:翼状腱。