虫様筋 Musculi lumbricales pedis
足の虫様筋は、足の内在筋の一つであり、足部の精密な運動制御において重要な役割を果たしています(Gray et al., 2020)。解剖学的特徴と臨床的意義を以下に詳述します:

J0517 (右足底の筋)

J0518 (右足底の筋(第2層))

J0968 (右足底の深部神経、下方からの図)
解剖学的特徴
- 数と位置:足には4つの虫様筋が存在し、第1~第4虫様筋と呼ばれます。これらは足底の中央部に位置しています(Standring, 2021)
- 起始:
- 第1虫様筋:長趾屈筋の第2趾への腱の内側から単一頭として起始
- 第2虫様筋:第2趾と第3趾への長趾屈筋腱から二頭性に起始
- 第3虫様筋:第3趾と第4趾への長趾屈筋腱から二頭性に起始
- 第4虫様筋:第4趾と第5趾への長趾屈筋腱から二頭性に起始
- 停止:各虫様筋はそれぞれの趾の基節骨内側縁および趾背腱膜(中足指節関節の背側関節包)に停止します(Moore et al., 2018)
- 構造:
- 第1虫様筋:単一の筋束からなる単一筋
- 第2~第4虫様筋:二つの筋頭を持つ二頭性羽状筋
- 走行:深横中足靱帯の足底側を通過した後、中足骨頭間を通って背側に回り込みます(Netter, 2019)
- 神経支配:
- 第1虫様筋:脛骨神経の分枝である内側足底神経(L4, L5)
- 第2~第4虫様筋:脛骨神経の分枝である外側足底神経の深枝(S1, S2)
- 血液供給:内側・外側足底動脈およびその分枝から栄養を受けます(McKeon et al., 2015)
機能
- 主要機能:
- 中足指節関節の屈曲と趾節間関節の伸展を同時に行う(Abboud, 2002)
- 長趾屈筋の作用に拮抗し、趾の過度の屈曲を防止
- 足のアーチ構造の維持に貢献
- 歩行時の役割:歩行周期の立脚相終末から遊脚相初期にかけて、趾の屈曲と足部の安定化に寄与します(Kelly et al., 2014)
臨床的意義
- 虫様筋症候群:虫様筋の過剰使用や炎症により、足底部の痛みを引き起こすことがあります(Bencardino and Rosenberg, 2001)
- 扁平足との関連:内側縦アーチの低下(扁平足)では、虫様筋の機能不全が見られることがあります(Angin et al., 2018)
- 神経障害:脛骨神経障害や絞扼性神経障害により、虫様筋の機能低下が生じることがあります(Ahmad et al., 2012)
- 糖尿病足:糖尿病性神経障害により虫様筋を含む足内在筋の萎縮が生じ、足部変形や潰瘍形成のリスクが高まります(Cheuy et al., 2013)
虫様筋は小さな筋肉ですが、足趾の精密な動きの調整や足部の構造維持において重要な役割を果たしています。手の虫様筋と相同の構造を持ち、足部バイオメカニクスにおいて不可欠な要素となっています。理学療法や足部の機能改善プログラムでは、これらの筋肉の強化と調整が重視されています(Mickle et al., 2016)。