母趾内転筋

母指内転筋は、斜頭と横頭の二つの部分から成り立っています。斜頭は、長足底靱帯、立方骨、外側楔状骨、第2から第4中足骨底から始まり、内側前方に向かいます。横頭は、第2から第5中足骨頭内側面と第2から第5中足指節関節の関節包から始まり、内側に向かいます。これら二つの部分は合わさり、第1中足骨頭の底側面に存在する種子骨を介して母指基節骨底につながります。内側・外側両足底神経がこの部分に分布します。

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

足底の筋 (図64)

母趾球筋(母趾外転筋、短母趾屈筋、母趾内転筋)、小趾球筋(小趾外転筋、短小趾屈筋、小趾外転筋)、そして中足筋(短趾屈筋、足底方形筋、虫様筋、底側骨間筋・背側骨間筋)に分けられます。中足筋では、対応する手の中手筋とは異なり、短趾屈筋と足底方形筋が追加で存在します。短趾屈筋は上肢の浅趾屈筋に相当しますが、足底方形筋に相当する上肢の筋は存在しません。また、小趾球筋では、手の短掌筋に相当する筋は存在しません。

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図64 足底の筋を底側からみたところ(右側)

図64 足底の筋を底側からみたところ(右側)

A:浅層(足底腱膜を除く状態)、B:浅層(短趾屈筋を除く状態)、C:深層(母趾および小趾外転筋、長母趾および長趾屈筋腱と足底方形筋を除く状態)。Abh:母趾外転筋、Adm:小趾外転筋、Ap:足底腱膜、C:踵骨、CI(Qp):外側頭(足底方形筋)、Cm(Qp):内側頭(足底方形筋)、Co(Adh):斜頭(母趾内転筋)、Ct(Adh):横頭(母趾内転筋)、Fdb:短趾屈筋、Fdl:長趾屈筋、Fdmb:短小趾屈筋、Fhl:長母趾屈筋、Id:背側骨間筋、lp:底側骨間筋、L:虫様筋、Lpl:長足底靭帯、Odm:小趾対立筋、Os(Pel):立方骨粗面と関節する長腓骨筋停止腱の種子骨、Peb:短腓骨筋、Pel:長腓骨筋、Qp:足底方形筋、Tp:後脛骨筋、VI(Fhb):外側腹(短母趾屈筋)、Vm(Fhb):内側腹(短母趾屈筋)