長母趾屈筋

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

長母趾屈筋は、下腿屈筋深層の浅い側の2つの筋のうち外側(腓側)を占める筋です。腓骨体の後面(内側稜と後縁の間)および後下腿筋間中隔の下半から起始し、長趾屈筋の外側(腓側)を下行します。

停止腱は、長趾屈筋と同様に内果の後で、屈筋支帯をくぐりつつ向きを下方から前方へ変えます。また、ここでは距骨の後と踵骨の載距突起の下に接して走り、両方の骨に長母趾屈筋腱溝を作ります。

足底に進むと、長趾屈筋停止腱の深部でこれと交差し、その内側に位置を占めます(図59)。この交差時に、停止腱の一部(外側枝)が長趾屈筋停止腱に様々な程度で結合します。その後、短母趾屈筋の内側外側両腹の間をさらに前方へ進み、母趾末節骨底に停止します(図59)。

長母趾屈筋腱は、長趾屈筋腱と交差する際に、腱の一部(外側枝)を長趾屈筋腱に送るのが一般的で、母趾だけに停止することは稀(1%未満)です。川島ら(1960)によると、母趾(第1趾)と第2趾へのものが22%、第1から第3趾が49%、第1から第4趾が26%、第1から第5趾が2%となっています。

059.png

図59 足底における下腿の筋の停止を底側よりみたところ(右側)

図59 足底における下腿の筋の停止を底側よりみたところ(右側)

Fdb:短指屈筋(停止腱)、Fdl:長指屈筋(停止腱)、Fhl:長母指屈筋(停止腱)、Os (Pel):立方骨粗面と関節する長腓骨筋停止腱の種子骨、Peb:短腓骨筋(停止腱)、Pel:長腓骨筋(停止腱)、R1:外側枝(長母指屈筋の腱の一部で、長指屈筋の腱との交差の際に長指屈筋腱に加わる)、Tp:後脛骨筋(停止腱)。