短腓骨筋 Musculus fibularis brevis

J0249 (右の脛骨と腓骨、筋の起こる所および着く所:前方からの図)

J0250 (右の脛骨と腓骨、筋の起こる所および着く所:後方からの図)

J0274 (右足の骨:足の筋の起こる所と着く所を示す背面図)

J0509 (右下腿の筋:腓側からの図)

J0510 (右下腿の筋、前面からの図)

J0511 (右下腿の筋(第2層):前方からの図)

J0512 (右の下腿の筋:後方からの図)

J0513 (右下腿の筋(第二層):後方からの図)

J0514 (右下腿の筋(第3層):後方から図)

J0515 (右下肢の筋(第4層):後方からの図)

J0521 (右足背の第二層の筋)

J0528 (右足の腱鞘)

J0603 (右足背の動脈)

J0969 (右下腿の深部神経、前外側からの図)
短腓骨筋は、下腿外側区画に位置する重要な筋肉で、足部の安定性と運動制御に不可欠な解剖学的構造です(Gray, 2020; Standring, 2021)。以下に、その詳細な解剖学的特徴と臨床的意義について解説します。
解剖学的位置と起始・停止
- 起始:腓骨外側面の遠位2/3(中央1/3から遠位1/3にかけて)と前・後下腿筋間中隔から起始します(Standring, 2021)。起始部は長腓骨筋よりも遠位に位置し、腓骨の外側面に広く付着します。
- 筋腹の走行:筋腹は長腓骨筋の深層(内側)に位置し、下腿の遠位1/3の高さで扁平な腱に移行します(Moore et al., 2018)。筋腹の長さは個人差がありますが、一般的に短く幅広い形態を示します。
- 腱の走行:腱は外果(外くるぶし)の後方を通過し、長腓骨筋腱とともに共通の腱鞘内を走行します。外果の後方では、上腓骨筋支帯(superior peroneal retinaculum)と下腓骨筋支帯(inferior peroneal retinaculum)によって固定されます(Netter, 2019)。
- 停止:第5中足骨粗面(第5中足骨基部の外側)の背外側部に強固に付着します(Moore et al., 2018)。この付着部は第5中足骨の基部外側の隆起した部分で、触診可能な解剖学的ランドマークです。
詳細な走行と周囲構造との関係
- 長腓骨筋との関係:短腓骨筋の筋腹は長腓骨筋の深層に完全に覆われています。下腿遠位部では、両筋の腱が接近し、外果後方で並走します(Netter, 2019)。
- 外果後方の走行:外果の後方では、腓骨筋腱溝(fibular groove)または腓骨筋溝内を通過します。この部位で、上腓骨筋支帯が腱を腓骨に固定し、腱の脱臼を防ぎます(Roth et al., 2010)。
- 立方骨周囲の走行:外果を通過した後、腱は立方骨の外側面にある立方骨腓骨溝(peroneal groove または cuboid groove)を経由して前方に向きを変えます。この部位で、短腓骨筋腱は長腓骨筋腱の表層(外側)を走行します(Agur and Dalley, 2017)。
- 腱鞘:外果後方から立方骨にかけて、共通の滑膜性腱鞘(synovial sheath)が両腓骨筋腱を包んでいます。この腱鞘は摩擦を軽減し、円滑な腱の滑走を可能にします(Taljanovic et al., 2015)。
- 下腓骨筋支帯:下腓骨筋支帯は外果の遠位で踵骨外側面に付着し、腓骨筋腱を固定します。この支帯の損傷は腱の亜脱臼や脱臼の原因となります(Roth et al., 2010)。
機能と生体力学
- 足関節の底屈:短腓骨筋は足関節の底屈(plantar flexion)に作用しますが、その寄与は限定的です。主要な底屈筋である下腿三頭筋と比較すると、補助的な役割を果たします(Neumann, 2017)。
- 足部の外反:短腓骨筋は足部の外反(eversion)の主動作筋として機能します。外反とは、足底が外側を向く運動で、距骨下関節での回内運動を含みます(Neumann, 2017)。長腓骨筋とともに、足部の外反において最も重要な筋肉です。
- 歩行周期での活動:短腓骨筋は、歩行周期の立脚相後期(terminal stance)から前遊脚相(pre-swing)にかけて活動が増加します(Perry and Burnfield, 2010)。この時期に、足部の安定化と推進力の生成に寄与します。
- 外側縦アーチの支持:短腓骨筋は外側縦アーチの動的安定性に寄与します。第5中足骨への付着により、外側アーチの維持に貢献します(Neumann, 2017)。
- 足部の動的安定性:不整地での歩行や走行時に、短腓骨筋は足部の外側の安定化に重要な役割を果たします。特に、内反捻挫を防ぐための保護的機能を持ちます(Loudon et al., 2008)。