長腓骨筋

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

腓骨筋群(図58)は、足の屈曲と外反を主に担当する筋肉群で、腓骨の周りに位置しています。腓骨筋群には、長腓骨筋、短腓骨筋などが含まれます。

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図58 腓骨筋群を外側からみたところ(右側)

図58 腓骨筋群を外側からみたところ(右側)

Bf: 大腿二頭筋の停止腱、Cf: 腓骨頭、Edl: 長指伸筋、Ehl: 長母指伸筋(停止腱)、Gel: 腓腹筋外側頭、Lcf: 外側副靭帯、Lp: 膝蓋靭帯、LPi: 下腓骨筋支帯、Lps: 上腓骨筋支帯、MI: 外果、Peb: 短腓骨筋、Pe1: 長腓骨筋、Pet: 第三腓骨筋、PI: 足底筋、Rei: 下伸筋支帯、Res: 上伸筋支帯、So: ヒラメ筋、Ta: 前脛骨筋、Tit: 腸脛靭帯(停止)

長腓骨筋

長腓骨筋は羽状筋で、腓骨、筋間中隔、下腿筋膜の近位部から始まります。この筋の腱は立方骨の粗面を滑走し、線維軟骨で覆われた溝を通過した後、第1(2)中足骨と第2楔状骨に至ります。短腓骨筋は腓骨頭から腓骨体外側部上半と一部前下腿筋間中隔から起始し、短腓骨筋の筋膜と腱を遠位方向に通過します。下降しながら短腓骨筋を覆い、停止腱は短腓骨筋の停止腱の後ろに並び、外顆の後で上腓骨筋支帯を通過し、踵骨の長腓骨筋腱溝で下腓骨筋支帯を通過します。

次に、立方骨の外側面から下面への隆起の平滑な面(長腓骨筋腱関節面)に触れ、内側前方に向きを変えて足底に進入します。この関節面と接触する部分には種子骨が形成されることがあります(堀口ら、1986)。

外果の後方では、長腓骨筋と短腓骨筋は総腱鞘に包まれ、上腓骨筋支帯によって外果に固定されます。踵骨の外側面で腱鞘が分かれ、短腓骨筋の腱は腓骨筋滑車を越えて第5中足骨へ進みます。一方、長腓骨筋の腱は腓骨筋滑車の後ろを通り、足の外側縁に位置する方向転換点に至ります。両腱は下腓骨筋支帯により支持されます。

停止腱は足底を斜めに横切り、第1中足骨底に停止します(図59)。停止は、第1背側骨間筋(65.8%)、内側楔状骨(48.7%)、後脛骨筋腱(23.7%)、母指内転筋の斜頭(2.0%)などがあります(橋本、1940)。

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図59 足底における下腿の筋の停止を底側よりみたところ(右側)

図59 足底における下腿の筋の停止を底側よりみたところ(右側)

Fdb:短指屈筋(停止腱)、Fdl:長指屈筋(停止腱)、Fhl:長母指屈筋(停止腱)、Os (Pel):立方骨粗面と関節する長腓骨筋停止腱の種子骨、Peb:短腓骨筋(停止腱)、Pel:長腓骨筋(停止腱)、R1:外側枝(長母指屈筋の腱の一部で、長指屈筋の腱との交差の際に長指屈筋腱に加わる)、Tp:後脛骨筋(停止腱)。