半腱様筋

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

半腱様筋の名前は、その長い腱に由来します。上部は筋肉、下部は腱で構成されています。次に述べる半膜様筋は、上部が長い膜状の腱となり、半腱様筋の筋肉を前(深部)から包みます。一方、下部は比較的太い筋肉となり、半腱様筋の停止腱と接しています。

このように、2つの筋肉は、大きな部分を占める筋肉部分を上下に分け合い、起始から停止まで全体の厚みが大きく変わらないように大腿の屈側に収まっています。半腱様筋は坐骨結節から始まり、鵞足を介して脛骨の近位端の内側面および下腿筋膜に終わります。半腱様筋は、半膜様筋によって作られた溝を遠位に進みます。

長い停止腱は大腿部から始まり(これが“半腱様”の名前の由来です)、鵞足の深層に広がります。坐骨結節の後面の内側部から大腿二頭筋の長頭と共に腱で起始し、すぐに長頭腱と分かれて筋肉となります。筋肉には腱があります。

長い停止腱は、膝窩の内側から内側やや前方に下り、脛骨の粗面の内側に、縫工筋および薄筋の停止と共に鵞足を形成し、停止します(図54)。縫工筋の停止の直後で薄筋の停止の直下を占めます。坐骨神経と脛骨神経部からの2本の支配神経があり、腱の上部と下部に1本ずつ分布しています。

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図54 鵞足を形成して停止する筋

内側から見たところ(右側)。

Bfl:大腿二頭筋長頭, Gr:薄筋, It:腱板, Pa:鵞足, Sa:縫工筋, Sias:上前腸骨棘, St:半腱様筋, Ti:坐骨結節, Tt:脛骨粗面