半腱様筋 Musculus semitendinosus

J0215 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す外側からの図)

J0216 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す前外側少し下方からの図)

J0249 (右の脛骨と腓骨、筋の起こる所および着く所:前方からの図)

J0497 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0500 (右殿部の筋:外側からの図)

J0501 (右側の殿部の筋:外側からの図)

J0503 (右大腿の筋:背面からの図)

J0504 (右側の臀部の筋(第2層):背面図)

J0505 (右大腿の筋:背面図)

J0507 (右膝の筋:脛側からの図)

J0510 (右下腿の筋、前面からの図)

J0629 (右大腿の深部静脈:背面図)

J0955 (右側の腰仙骨神経叢:図解)

J0963 (右大腿の神経:後方からの図)

J0964 (右大腿の皮神経:後方からの図)

J0965 (右下腿の神経、後方からの図)
半腱様筋は、大腿後面のハムストリングス筋群を構成する重要な筋肉であり、その独特な解剖学的構造と臨床的重要性から、整形外科学、スポーツ医学、リハビリテーション医学において注目されています。以下、解剖学的特徴と臨床的意義について詳述します(Gray, 2020; Standring, 2021; Netter, 2019)。
解剖学的特徴
筋の構造と形態
- 名称の由来:「半腱様(semitendinosus)」という名称は、筋全長に対して腱部分が筋全長の半分以上を占めるという特徴的な形態に由来します。この長大な腱は、筋腹と腱の比率が他の多くの筋肉とは異なる特徴を示しています(Standring, 2021)
- 筋腹と腱の構成:半腱様筋の近位1/3は紡錘形の筋腹として存在し、遠位2/3は細長い円柱状の腱として形成されています。この独特な構造により、筋は効率的な力の伝達機構を持ちます(Netter, 2019)
- 腱内腱(intramuscular tendon):筋腹の中央部には斜走する腱性中隔が存在し、これが羽状筋線維の付着部位となっています。この構造により、筋線維は斜めに配列し、より多くの筋線維を限られた空間に収めることができます(Woodley and Mercer, 2005)
- 筋の長さと断面積:半腱様筋は全長約30-35cmで、筋腹部の生理学的断面積は約5-7cm²です。この形態学的特徴は、筋の張力発生能力と運動範囲の両方に影響を与えます(Wickiewicz et al., 1983)
起始と停止
- 起始:坐骨結節の後内側面から大腿二頭筋長頭と共通腱で起始します。この共通腱は幅広く、強靭な結合組織で構成されており、両筋の協調的な機能を可能にしています(Gray, 2020)
- 停止:脛骨近位内側面、脛骨粗面の下方に停止し、鵞足(pes anserinus)の一部を形成します。停止腱は薄く扁平な構造をしており、約5-7cmの範囲に広がって付着します(Standring, 2021)
- 鵞足(Pes Anserinus)の構成:縫工筋(最表層)、薄筋(中間層)、半腱様筋(最深層)の3筋の停止腱が扇状に広がり、ガチョウの足(goose's foot)に似た形態を示すことから「鵞足」と命名されました。この複合構造は膝関節の内側安定性に重要な役割を果たします(Netter, 2019; De Maeseneer et al., 2015)
- 鵞足滑液包:鵞足と脛骨の間には鵞足滑液包が存在し、腱の滑走を助けます。この滑液包は長さ約4-6cm、幅約2-3cmで、過度の摩擦により炎症を起こすことがあります(Helfenstein and Kuromoto, 2010)
神経支配
- 神経支配:坐骨神経の脛骨神経部(L5-S2)からの分枝により支配されます。神経枝は通常2-3本存在し、筋の近位部と中央部に分布します(Tubbs et al., 2016)
- 神経進入点:神経は筋の深層面から進入し、主要な神経進入点は起始部から約5-10cm遠位に位置します。この解剖学的知識は、神経ブロックや外科的アプローチにおいて重要です(Woodley and Mercer, 2005)
- 固有受容器:筋紡錘やゴルジ腱器官が豊富に分布しており、膝関節と股関節の位置感覚や運動制御に重要な役割を果たします(Proske and Gandevia, 2012)
血液供給
- 動脈供給:主に内側大腿回旋動脈と深大腿動脈からの貫通枝により栄養されます。これらの血管は筋の近位部、中央部、遠位部にそれぞれ分布し、豊富な血管網を形成します(Gray, 2020)