小殿筋

小殿筋は腸骨の外側面、前殿筋線と下殿筋線の間から発生し、大転子前面の外側縁に終わります。中殿筋にほとんど完全に覆われています。両筋は前縁で結合し、後方に開く袋を形成します。小殿筋の転子包は大転子先端と同じ筋が止まる腱の間に位置します。中殿筋と小殿筋は同じ筋原基から生じ、大殿筋に対して小さな殿筋群を形成します。大腿屈曲以外の場合、股関節を外転するため、外転筋群とみなすことができます。

小殿筋の重要な役割は、歩行や片足立ち時に骨盤を支持脚として支えることです。中殿筋と小殿筋は骨盤が遊脚側に傾くのを防止し、また骨盤を支持脚側に傾けます。小殿筋は、殿筋群浅層の最も深い第3層を形成し、全体が中殿筋に覆われます。腸骨翼外面の前殿筋線と下殿筋線の間から起始し、中殿筋と同様に集束しながら外側下方に走り、大転子の前部に終わります。前部の腱膜には中殿筋の前内側部が終わります。前後二部に分かれることがあり、独立した前部を第四殿筋と呼ぶこともあります。小殿筋は上殿神経により浅層面から支配されます。

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

殿筋群は、大殿筋、中殿筋、小殿筋の三つの筋で構成されています。これらは股関節の動きを支える重要な筋肉で、特に立ち上がる動作や歩行において重要な役割を果たします。大殿筋は股関節の伸展と外旋を、中殿筋は股関節の外転と安定化を、小殿筋は股関節の内旋を担当しています。

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図51 殿筋群を外側からみたところ(右側)

図51 殿筋群を外側からみたところ(右側)

A: 大殿筋と大腿筋膜張筋、B: 中殿筋、C: 小殿筋、Gmax: 大殿筋、Gmed: 中殿筋、Gmin: 小殿筋、T: 腸脛靭帯、Tn: 大腿筋膜張筋、Tm: 大転子