肘筋 Musculus anconeus

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

J0184 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手の裏側からの図)

J0461 (右上腕の筋:橈側からの図)

J0468 (右上腕の筋:背面図)

J0470 (右上腕の筋(深層):背面図)

J0476 (右前腕の筋:橈側からの筋)

J0477 (右前腕の筋:背面図)

J0478 (右前腕の筋:背面図)

J0479 (右前腕の筋(深層):背面図)

J0947 (右上腕の筋神経:後方からの図)
解剖学的特徴
位置と構造
肘筋は上腕三頭筋の内側頭の外側部分に位置し、肘関節の後外側を覆う小さな三角形状の筋です。肘関節の安定性に重要な役割を果たし、解剖学的には上腕三頭筋の延長部と考えられることもあります(Gray, 2020; Standring, 2015)。
起始と停止
- 起始:上腕骨外側上顆の後面と肘関節包から起始します。起始部は比較的小さく、直径約10-15mmの範囲に限定されますが、肘関節の動的安定性において重要な役割を果たします(Netter, 2019; Moore et al., 2018)。
- 停止:尺骨肘頭の外側面に停止し、尺骨近位1/4の外側縁に沿って扇状に広がります。停止部の面積は起始部より広く、約20-25mmの範囲に及びます。この広い停止部は筋の機能的役割を反映しており、肘関節の伸展運動と関節包の緊張維持に寄与しています(Platzer, 2018)。
形態学的特徴
- 線維が尺骨の背側表面に扇状に広がり、短く厚みがある構造を呈します。
- 平均重量は約3-4g、線維長は約4-6cm、筋腹の厚さは約3-5mmです(Tubbs et al., 2016)。
- 筋線維は主に遅筋線維(Type I)が優位で、持久的な姿勢保持機能に適した組成を示します。
神経支配
肘筋は橈骨神経の枝(C7, C8脊髄神経由来)によって支配されます。神経は上腕三頭筋の内側頭を支配する枝と共通の起源を持ち、通常、上腕骨外側上顆の約2-3cm近位で分岐します。この共通の神経支配は、発生学的に両者が関連していることを示唆しています(Spinner, 2003; Morrey, 2018)。
血液供給
肘筋の血液供給は主に以下の動脈からの分枝により栄養されています(Drake et al., 2019):
- 深腕動脈(深上腕動脈)の末梢枝
- 回帰尺骨動脈(反回尺側動脈)からの分枝
- 橈側側副動脈からの小分枝
これらの血管は肘筋の表面と深層の両方に豊富な血管網を形成し、筋の代謝需要を満たしています。