棘下筋 Musculus infraspinatus

J0164 (右肩甲骨、筋の起こる所と着く所:前面からの図)

J0172 (右上腕骨、上端部:上方からの図)

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

J0468 (右上腕の筋:背面図)

J0469 (右上腕の筋:背面図)

J0470 (右上腕の筋(深層):背面図)

J0572 (右の鎖骨下動脈:右側からの図)

J0575 (右肩甲骨の動脈:背面図)

J0933 (右肩甲骨の神経:後方からの図)

J0947 (右上腕の筋神経:後方からの図)
概要
棘下筋は、肩関節の回旋筋腱板(ローテーターカフ)を構成する4つの筋の1つで、肩関節の外旋と安定化において中心的な役割を果たします。この筋は肩甲骨後面に位置し、上腕骨の大結節に付着することで、肩関節の動的安定性を提供します(Gray, 2020; Netter, 2019)。
解剖学的構造
起始
- 棘下筋は肩甲骨の棘下窩(infraspinous fossa)の内側約2/3から広く起こります(Standring, 2021)。
- 一部の筋線維は肩甲棘(spine of scapula)の下面からも起始します。
- 起始部の上部は僧帽筋(trapezius)と広背筋(latissimus dorsi)に部分的に覆われています(Moore et al., 2018)。
- 棘下筋膜(fascia infraspinata)という強固な筋膜に包まれており、この筋膜は肩甲棘と肩甲骨の内側縁および外側縁から起こり、筋を保護し区画化しています(Agur and Dalley, 2021)。
走行
- 筋線維は外側上方に向かって収束し、肩甲骨の外側縁近くで強靭な腱に移行します。
- 腱は肩関節包と密接に結合し、関節包の後方補強に寄与します(Neumann, 2017)。
- 走行中、筋は三角筋(deltoid)の深層に位置し、肩峰下滑液包(subacromial bursa)との間に潜在的な摩擦空間が存在します(Drake et al., 2020)。
停止
- 上腕骨大結節(greater tubercle)の中央面に付着します。大結節には3つの面(上面、中央面、下面)があり、棘下筋は中央面に停止します(Moore et al., 2018)。
- 停止部は完全に三角筋に覆われており、表面からは直接触知できません。
- 腱の停止部は関節包と融合し、回旋筋腱板の一部として肩関節の安定化に寄与します(Standring, 2021)。
- 棘上筋腱(supraspinatus tendon)の後方に位置し、小円筋腱(teres minor tendon)の上方に隣接します(Netter, 2019)。
神経支配