恥骨前立腺靭帯 Ligamentum puboprostaticum

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J0803 (男性の右側肛門挙筋と尿生殖三角:後上方からの図)

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J0807 (恥骨前立腺靭帯:上後方からの図)

解剖学的特徴

恥骨前立腺靭帯は、上骨盤隔膜筋膜(筋膜骨盤上)の肥厚部として形成される重要な線維性構造です(Myers et al., 2010)。主に内側部と外側部(恥骨前立腺外側靭帯)に分けられます。内側部は恥骨結合から前立腺の前面に付着し、外側部は恥骨後面から始まり前立腺の外側縁に達します。これらの靭帯は前立腺を適切な位置に支持・固定する役割を果たし、前立腺の安定性を保つとともに、尿道の支持にも関与しています(Takenaka et al., 2005)。

臨床的意義

臨床的意義としては、前立腺全摘除術において恥骨前立腺靭帯の温存が尿禁制の保持に重要とされています(Stolzenburg et al., 2006)。この靭帯を温存することで術後の尿失禁のリスクを低減できるという研究結果が報告されています。また、前立腺肥大症や前立腺癌の進行に伴い、これらの靭帯の解剖学的関係が変化することがあり、画像診断においても重要な指標となります(Walz et al., 2011)。

最新の研究知見

近年の研究では、恥骨前立腺靭帯の微細解剖学的構造と機能的役割についての理解が深まっています。特に、3D画像技術の発展により、この靭帯の詳細な構造が明らかになりつつあります(Muraoka et al., 2018)。また、ロボット支援下前立腺全摘除術における恥骨前立腺靭帯の温存技術も進歩しており、術後機能改善に寄与しています(Tewari et al., 2012)。

参考文献

東洋医学との関連性

経絡・経穴との解剖学的対応関係

恥骨前立腺靭帯の位置は、東洋医学における任脈と腎経の走行領域に相当します。特に、会陰部から下腹部にかけての領域は、任脈の曲骨(CV-2)、中極(CV-3)、関元(CV-4)などの重要な経穴が分布しています(Yang, 2005)。また、足少陰腎経の横骨(KI-11)、大赫(KI-12)なども本靭帯の近傍を通過すると考えられます(Deadman et al., 2007)。解剖学的には、これらの経穴は恥骨結合周囲の筋膜構造や神経血管束と密接に関連しており、恥骨前立腺靭帯もその支持構造の一部として機能しています(Langevin & Yandow, 2002)。

鍼灸治療における臨床的意義