腰方形筋

日本人のからだ(宮内亮輔・長島聖司・小川皓一・坂本裕和 2000)によると

腰方形筋は、長方形の筋肉で、腰腱膜の前に位置し、第12肋骨から起始して腸骨稜および腸腰靭帯に至る筋束が主部を形成します。また、背側層では腰椎肋骨突起から起始し、主部や腸骨稜に至る筋束によって構成されます。

腰方形筋は、腸腰靭帯と腸骨稜の後部から起始し、最後の肋骨の下縁と上位4つの腰椎横突起に至ります。この筋は、最下部の肋骨を下方向に引き下げ、体幹の屈曲を補助し、一方で一側だけが作動した場合には脊柱の側屈を行います。呼吸運動への関与については疑問があります。神経支配は、肋下神経と第1~3腰神経により行われ、血流は腸腰動脈の腰枝によって供給されます。

日本人胎児では、通常、第12肋骨から起始する筋束に第1から第5腰椎肋骨突起(91.0%、91/100例)から起始する筋束が加わり、まれに第1から第4肋骨突起(9.0%、9/100例)から起始する筋束が加わることがあります。本筋には中間腱が存在することがまれにあり(3.0%、3/100例)(米倉,1954)。分節性に走る腰動脈と腰神経前枝とは直交し、その際、腰動脈は本筋の後を、神経は本筋の前を通過します。

支配神経はTh12-L3(L4)前枝の根部から生じる枝により支配され、特にL1、L2は筋全体の2/3に分布すると言われています(佐藤達夫,1971; 坂本,1989)。