短肋骨挙筋 Musculi levatores costarum breves

短肋骨挙筋は第7頸椎から第11胸椎の横突起から起始し、その直下の肋骨(第1-12肋骨)の助骨角の外側縁に停止する筋肉です。解剖学的には脊柱起立筋群の深層に位置し、12対存在します。各筋は扇状の形態を示し、横突起から外下方に走行します (Standring, 2015)。

解剖学的構造

構造的には、各短肋骨挙筋は単一の節制筋(分節的に配列された筋)であり、隣接する脊椎と肋骨を連結します (Moore et al., 2018)。筋線維の走行は後外側下方向です。内側部は椎間関節包と連続し、外側部は肋骨間外筋と連続しています (Netter, 2019)。

機能

機能的には、両側が同時に収縮すると脊柱を伸展させ、片側が収縮すると脊柱を同側に側屈させます (Neumann, 2017)。また、肋骨を挙上させることで呼吸補助筋としても機能します。特に深呼吸時や咳嗽時に活動が増加します (Bordoni et al., 2020)。

臨床的意義

臨床的には、胸背部痛や肋間神経痛の原因となることがあります。過度の緊張は呼吸制限や姿勢異常につながる可能性があり、理学療法の対象となることがあります (Kendall et al., 2014)。また、胸郭出口症候群の病態にも関与する場合があります (Povlsen et al., 2018)。

神経支配と血液供給

神経支配は後枝の内側枝により支配されます。血液供給は肋間動脈の後枝から得ています (Drake et al., 2020)。

参考文献