胸骨舌骨筋 Musculus sternohyoideus
胸骨舌骨筋は、前頚部舌骨下筋群に属する帯状の筋肉であり、嚥下機能において重要な役割を果たします (Standring, 2021)。
解剖学的特徴
- 起始:胸骨柄後面および隣接する鎖骨内側端後面 (Moore et al., 2023)
- 走行:頚部正中に沿って上行し、左右対称に位置する
- 停止:舌骨体下縁外側部
- 支配神経:上頚神経(C1-C3)からの頚神経ワナ (Drake et al., 2020)
- 血液供給:上甲状腺動脈および下甲状腺動脈の分枝
機能と作用
主な作用は、以下の通りです (Netter, 2023):
- 舌骨の下制(主作用)
- 喉頭の下制(補助作用)
- 嚥下時の舌骨位置の調整
- 発声時の喉頭位置の制御
臨床的意義
以下の臨床状況において重要となります (Sinnatamby, 2022):
- 嚥下障害:筋力低下により、嚥下機能が障害される可能性があります。
- 発声障害:筋機能不全により、声質に影響を与えることがあります。
- 頚部手術:前頚部手術時の重要な指標となります。
- 神経学的検査:頚神経ワナ損傷の評価に用いられます。