内側翼突筋 Musculus pterygoideus medialis
内側翼突筋は咀嚼筋群の一つで、下顎骨の挙上と前方牽引に重要な役割を果たす筋肉です。咬筋と協調して強力な咬合力を生み出し、咀嚼運動において中心的な機能を担います(Standring et al., 2020)。

J0065 (下顎の右半分、筋の起こる所と着く所:内側からの図)

J0081 (外頭蓋底:筋の起こる所と着く所を示す図)

J0413 (右側の翼突筋:外側からの図)

J0414 (右側の咀嚼筋、背側からやや内側からの図)

J0669 (唾液腺:右側の下顎の右半分を除去した図)

J0680 (咽頭と喉頭の筋:後方から見た図)

J0683 (頭蓋骨の筋:後方からの図)

J0912 (右の下顎神経の分岐、浅層)

J0913 (下顎神経の分岐、深層:右方からの図)

J0914 (耳神経節:内側からの図)
解剖学的特徴
起始
- 蝶形骨翼状突起の翼突窩(主要起始部)から起こります(Drake et al., 2019)。
- 翼状突起外側板の内側面からも一部の筋線維が起始します。
- 口蓋骨錐体突起からも小さな起始部があります。
停止
- 下顎角の内側面にある翼突筋粗面に停止します。
- 停止部は三角形状の粗面を形成し、咬筋の停止部(下顎角外側面)と対称的な位置関係にあります。
走行と形態
- 筋は前上内方から後下外方へと斜めに走行します。
- 咬筋と平行に走行し、下顎枝を挟んで内外から支持する構造を形成します(Netter, 2021)。
- 筋の厚さは約1.0〜1.5cmで、咬筋よりもやや薄い構造です。
神経支配
- 下顎神経(三叉神経第3枝)の内側翼突筋枝により支配されます(Moore et al., 2022)。
- この神経枝は下顎神経本幹から卵円孔直下で分岐し、筋の深部から進入します。
血液供給
- 主に顎動脈(上顎動脈)の翼突筋枝から栄養を受けます。