側頭頭頂筋 Musculus temporoparietalis

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J0405 (頭部の浅層筋:少し右側からの図)

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J0415 (右側の頭頚部の筋:後方からの図)

解剖学的構造

起始・停止

側頭頭頂筋は頭蓋冠の表層に位置する薄い筋肉で、側頭筋膜の上縁から起始し、帽状腱膜の側方部に停止します (Standring, 2020)。この筋は前頭後頭筋の一部として記述されることもありますが、独立した筋として分類されることが一般的です (Moore et al., 2018)。

神経支配

側頭頭頂筋は顔面神経(第VII脳神経)の側頭枝によって支配されます (Standring, 2020)。この神経支配により、筋は頭皮の運動に関与し、特に耳介の上方への移動に寄与します (Netter, 2019)。

血液供給

側頭頭頂筋への血液供給は、主に浅側頭動脈の分枝によって行われます (Moore et al., 2018)。浅側頭動脈は外頸動脈の終枝の一つであり、側頭部の広範な領域に血液を供給します (Standring, 2020)。静脈還流は浅側頭静脈を介して行われ、最終的に外頸静脈へ流入します (Netter, 2019)。

機能

側頭頭頂筋の主な機能は、帽状腱膜を側方に引くことで頭皮の緊張を調整し、耳介を上方へ移動させることです (Moore et al., 2018)。しかし、この筋は発達的には退化傾向にあり、特に日本人を含む東アジア系の人々では機能的意義が限定的であることが報告されています (Sato et al., 2015)。

発生学的観点

側頭頭頭筋は第二鰓弓由来の筋群に属し、表情筋の一部として発生します (Standring, 2020)。胎生期において、この筋は顔面神経支配下で分化し、頭蓋冠の表層筋膜系の一部を形成します (Moore et al., 2018)。

解剖学的変異

側頭頭頂筋の発達には個人差が大きく、一部の個体では筋が欠如している場合もあります (Standring, 2020)。また、筋の大きさや形状にも変異が見られ、これは人種や個体差によって異なります (Sato et al., 2015)。

臨床的意義

顔面神経麻痺との関連

側頭頭頂筋は顔面神経の側頭枝によって支配されているため、顔面神経麻痺(ベル麻痺など)が発生した際には、この筋の機能も影響を受けます (Peitersen, 2002)。顔面神経麻痺では、側頭頭頂筋の麻痺により頭皮の運動制限や耳介の位置異常が生じることがありますが、臨床的には前頭筋や眼輪筋の麻痺ほど顕著ではありません (House and Brackmann, 1985)。

頭皮外傷と筋損傷

頭部外傷において、側頭頭頂筋を含む頭皮の表層構造が損傷を受けることがあります (Greenberg, 2016)。特に鈍的外傷や切創では、側頭部の筋膜や筋組織の損傷が出血や血腫形成の原因となることがあります (Standring, 2020)。