下橈尺関節 Articulatio radioulnaris distalis

J0319 (右前腕の骨と靱帯:手の回旋位の掌側からの図)

J0320 (右手の関節、手根を回外位とし、掌側からの図)

J0321 (右手の関節:手根を回外位とし、手の甲からの図)
解剖学的概要
下橈尺関節(遠位橈尺関節)は、前腕の遠位端に位置する車軸関節(軸関節)で、前腕の回内(pronation)と回外(supination)運動を可能にする重要な関節です。この関節は尺骨頭の関節周(circumferentia articularis)と橈骨の尺骨切痕(incisura ulnaris radii)の間に形成されます(Gray, 2020)。
関節の構造
関節面:
- 尺骨頭の内側3/4の円柱状の関節面が、橈骨の尺骨切痕の凹面と接します(Standring, 2016)。
- 尺骨頭の遠位面は関節円板と接し、手関節とは直接連絡しません(Moore et al., 2018)。
- 関節面は両方とも滑らかな硝子軟骨で覆われています(Netter, 2019)。
関節円板(triangular fibrocartilage complex, TFCC):
- 三角形の線維軟骨性構造で、その底辺は橈骨の尺骨切痩の遠位縁に付着し、尖端は尺骨の茎状突起の基部に付着します(Palastanga & Soames, 2012)。
- 関節円板の上面は下橈尺関節の遠位壁を形成し、下面は手根骨(特に月状骨と三角骨)との間に手関節の一部を形成します(Sobotta, 2018)。
- この構造により、尺骨頭は手根骨と直接接触せず、手関節にかかる力の約20%を伝達します(Gray, 2020)。
- 関節円板は尺骨頭を手根骨から分離するだけでなく、下橈尺関節の安定性に重要な役割を果たします(Moore et al., 2018)。
関節包と靱帯:
- 関節包は比較的弱く、緩い線維性組織からなり、橈骨と尺骨の関節縁に付着します(Netter, 2019)。
- 掌側橈尺靱帯(ligamentum radioulnare palmare)と背側橈尺靱帯(ligamentum radioulnare dorsale)が関節包を補強します(Standring, 2016)。
- 上方に向かって嚢状陥凹(recessus sacciformis)と呼ばれる滑液包の突出部があり、前腕の回転運動を円滑にします(Moore et al., 2018)。
機能と運動学
運動の機構: