舟状骨[足の]Os naviculare
足の舟状骨は、足根骨の中でも特に重要な骨であり、足部の内側縦アーチの頂点を形成する中足根骨です(Sarrafian, 1993; Mann, 2007)。
解剖学的特徴
位置と形態
- 足根の内側に位置し、距骨と3つの楔状骨の間に介在します(Moore et al., 2018)
- 前後方向に扁平な舟形(船形)を呈し、背側は凸面、足底側は凹面を示します(Standring, 2020)
- 長さは約3-4cm、幅は約2-3cmで、足根骨の中では中等度の大きさです(Sarrafian, 1993)
関節面
- 前面:3つの関節面(内側・中間・外側)があり、それぞれ内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨と楔舟関節を形成します(Moore et al., 2018)
- 後面:距骨頭と接する凹面の距舟関節面を形成し、距踵舟関節の一部を構成します(Standring, 2020)
- 外側面:立方骨との間に小関節面を持つことが多く(約50-60%)、舟立方関節を形成します(Sarrafian, 1993)
- 内側面:舟状骨粗面(tuberositas ossis navicularis)という顕著な突起があり、皮下に触知可能な重要なランドマークです(Moore et al., 2018)
筋・腱の付着
- 舟状骨粗面:後脛骨筋腱の主要な停止部位です(Standring, 2020)
- 足底面:後脛骨筋腱の深層線維が通る浅い斜めの溝(腱溝)があります(Sarrafian, 1993)
- 背側面:前脛骨筋腱の一部が付着することもあります(Moore et al., 2018)
血管供給
- 主に足背動脈と内側足底動脈の枝から栄養を受けます(Sarrafian, 1993)
- 中央部は血行が比較的乏しく、骨折後の治癒遅延や無腐性壊死のリスクがあります(Torg et al., 1982)
臨床的意義