骨盤軸 Axis pelvis

J0227 (女性の骨盤、正中断:左からの右半分、登録された直径付き)
解剖学的定義
骨盤軸(Axis pelvis)は、骨盤腔を通過する仮想的な曲線であり、恥骨結合上縁から仙骨岬角までの骨盤腔の各平面における前後径の中点を連続的に結んだ線として定義されます(Williams et al., 2023; Moore et al., 2022)。
より具体的には、以下の解剖学的ランドマークを結ぶ曲線です:
- 骨盤入口面(superior pelvic aperture)の前後径中点:恥骨結合上縁と仙骨岬角の中点
- 小骨盤腔(lesser pelvis)内の各水平面における前後径中点
- 骨盤出口面(inferior pelvic aperture)の前後径中点:恥骨結合下縁と尾骨尖の中点
解剖学的特徴
骨盤軸は直線ではなく、以下の特徴を持つ曲線を描きます(Standring, 2020):
- 全体として前方に凹の湾曲(anterior concavity)を示します
- 仙骨と尾骨の前面の湾曲にほぼ平行に走行します
- 骨盤入口部では後下方に向かい、骨盤出口に近づくにつれて前下方に方向を変えます
- この曲線の角度変化は、主に坐骨棘レベルで最も顕著です
産科学的・臨床的意義
分娩における重要性:
骨盤軸は産科学において極めて重要な概念であり、以下の臨床的意義を持ちます(Cunningham et al., 2022):
- **産道の方向指標:**骨盤軸は胎児が分娩時に通過する産道の理想的な経路を示します。胎児の先進部(通常は頭部)は、この軸に沿って回旋しながら下降します(Gabbe et al., 2021)
- **分娩機序の理解:**正常分娩では、胎児は骨盤軸の曲線に従って以下の動きをします(Kilpatrick & Garrison, 2017):
- 骨盤入口では後下方に進入
- 中骨盤腔で回旋
- 骨盤出口では前下方に娩出