寛骨臼窩 Fossa acetabuli

J0212 (右の寛骨:外側からの図)

J0214 (右の寛骨:前下からの図)

J0379 (右の股関節部:大腿は伸ばされて少し内側に巻かれ、腹背方向からのX線像)
解剖学的特徴
位置と構造:
- 寛骨臼窩は寛骨臼の底部、すなわち最も深い部分に位置する非関節面です(Standring, 2020)。
- 寛骨臼の月状面(半月状の関節軟骨で覆われた部分)に囲まれた中央の陥凹部を形成します(Moore et al., 2018)。
- この窩の底部は腸骨、坐骨、恥骨の三骨が癒合する部位に相当し、Y字軟骨の位置に対応します(Netter, 2018)。
表面の性質:
- 表面は粗造で不規則な構造を呈し、関節軟骨では覆われていません(Palastanga & Soames, 2012)。
- 線維性結合組織と脂肪組織で満たされており、これが関節内圧の調節に関与します(Standring, 2020)。
- 寛骨臼横靭帯が寛骨臼切痕を橋渡しし、窩の開口部を部分的に覆います(Moore et al., 2018)。
骨の厚み:
- 寛骨臼窩の上部(天蓋部)は、荷重を受ける月状面と比較して著しく薄くなっています(Tile et al., 2015)。
- この薄い骨は時に半透明に見えることがあり、病的な骨侵食や腫瘍の進展経路となることがあります(Enneking & Dunham, 1978)。
臨床的意義
股関節の機能:
- 寛骨臼窩は大腿骨頭の荷重伝達には直接関与しませんが、股関節の安定性維持に重要な役割を果たします(Standring, 2020)。
- 大腿骨頭靭帯(ligamentum capitis femoris)が寛骨臼窩から大腿骨頭の窩へと走行し、この靭帯には閉鎖動脈の枝が含まれ、幼少期の大腿骨頭への血液供給に寄与します(Trueta & Harrison, 1953)。
画像診断:
- X線撮影やCT検査において、寛骨臼窩は特徴的な透亮像として認識されます(Judet et al., 1964)。