棘突起 Processus spinosus vertebrae

J0116 (椎骨:頭蓋骨側からの図)
J0117 (椎骨:右方からの図)

J0118 (第4頚椎:頭側からの図)
J0119 (第4頚椎:右側からの図)

J0124 (第七頚椎:頭側からの図)

J0126 (第6胸椎:頭側からの図)
J0127 (第6胸椎:右側からの図)

J0129 (第3腰椎:上方からの図)

J0290 (腰椎の一部の正中断、右切断半分:左方からの図)

J0291 (腰椎弓と黄色靭帯:前方からの図)

J0295 (頭蓋骨と頚椎の靭帯:右側からの図)

J0305 (右側の肋骨と関連する椎骨、および靱帯:背面および右側からの図)

J0616 (腰椎の静脈の正中断面:左側からの図)

J0617 (腰椎の静脈:上方からの水平断面図)

J0828 (脊椎と筋の断面図)

J0927 (脊髄神経の後枝:後方からの図)

J0961 (右側の骨盤の神経:左方からの図)
定義と基本構造
棘突起は、椎骨椎弓の正中線から後下方に向かって伸びる単一の骨性突起です(Gray, 2020; Standring, 2021)。この構造は脊柱の後方要素として、筋肉や靱帯の付着部位となり、脊柱の安定性と運動性に重要な役割を果たしています。
解剖学的特徴
部位別の形態的特徴
棘突起の形態は脊柱の部位によって著しく異なり、それぞれの機能的要求に適応しています(Standring, 2021; Bogduk, 2012):
頚椎(C1-C7)
- C2-C6の棘突起は比較的短く、先端が二分岐する特徴的な形態を示します。この二分岐構造は項靱帯の付着に適応したものです。
- 第7頚椎(隆椎、vertebra prominens)の棘突起は特に長く、皮膚の上から容易に触知可能で、重要な解剖学的指標となります。この突起は二分岐せず、先端は結節状を呈します(Moore et al., 2022)。
- 第1頚椎(環椎)には典型的な棘突起は存在せず、後結節として認められるのみです。
胸椎(T1-T12)
- 胸椎の棘突起は長く、下方に強く傾斜しており、屋根瓦(imbrication)のように重なり合う配置を示します。
- T5-T8では傾斜が最も顕著で、棘突起の先端が下位椎体のレベルに達することもあります。
- この傾斜構造は胸椎の過伸展を制限し、胸郭の保護に寄与しています(Bogduk, 2012)。
- 上位胸椎(T1-T4)と下位胸椎(T9-T12)では傾斜が比較的緩やかです。
腰椎(L1-L5)
- 腰椎の棘突起は水平方向に配置され、太く短い板状(quadrilateral)の形態を呈します。
- この形態は大きな脊柱起立筋群の付着に適応しており、腰椎の強力な伸展運動を可能にしています(Neumann, 2018)。
- 棘突起間の間隔は胸椎に比べて広く、棘間靱帯がよく発達しています。