関節突起(下顎骨の)Processus condylaris (Mandibulae)
下顎骨の関節突起は、下顎枝の後上方に位置する解剖学的に最も重要な構造の一つです。この突起は下顎頭(caput mandibulae)と下顎頚(collum mandibulae)の二つの主要部分から構成され、側頭下顎関節(TMJ)を形成する下顎骨側の構成要素として機能します(Gray et al., 2020; Standring, 2021)。

J0061 (下顎骨:下方からの図)

J0062 (下顎骨、右半分:外側からの図)

J0063 (下顎骨、右半分:内側からの図)

J0355 (頭蓋骨:後頭前頭方向からのX線像)

J0414 (右側の咀嚼筋、背側からやや内側からの図)
解剖学的特徴:
下顎頭(Caput mandibulae):
- 形状と寸法:長楕円形の関節面を持ち、横径約20mm、前後径約8-10mmの大きさで、内外側方向に長軸を持ちます(Standring, 2021)
- 関節面:前後方向に凸状で、側面から見ると前方に傾斜しています。関節面は厚さ約0.5-2mmの線維軟骨で覆われており、硝子軟骨ではなく線維軟骨である点が他の滑膜関節と異なります(Netter, 2019; Okeson, 2020)
- 表面構造:関節面は前面と上面の二つの部分に分けられ、前面は機能時に主に使用されます。後面は非機能的な部分とされています(Okeson, 2020)
- 内部構造:海綿骨で構成され、豊富な血管分布があります。骨梁の配列は機能的な力の方向に沿って配列しています(Moore et al., 2018)
下顎頚(Collum mandibulae):
- 形態:下顎頭の下方に続く細くなった部分で、前方に凹状のくびれを形成しています。長さは約5-10mmで、前内側面に翼突筋窩(fovea pterygoidea)と呼ばれる浅い陥凹があります(Moore et al., 2018)
- 翼突筋窩:外側翼突筋の上頭が付着する部位で、開口運動時に重要な役割を果たします。この筋付着部は個体差が大きく、形態学的変異が認められます(Fehrenbach and Herring, 2017)
- 骨折好発部位:下顎頚は構造的に細く、外力に対して脆弱であるため、下顎骨骨折の好発部位となっています(Ellis and Zide, 2006)
血管分布:
- 動脈供給:主に浅側頭動脈の枝と顎動脈の枝によって栄養されます。特に関節面への血管分布は豊富で、リモデリングと修復能力に寄与しています(Okeson, 2020)
- 静脈還流:翼突筋静脈叢を介して還流され、顔面深部の静脈系と連絡しています(Moore et al., 2018)
神経支配:
- 三叉神経の下顎枝から分岐する耳介側頭神経と咬筋神経が関節包と周囲組織に分布し、痛覚と固有感覚を伝達します(Netter, 2019)
機能的意義:
顎関節の運動メカニズム: