眼窩下溝 Sulcus infraorbitalis
眼窩下溝は、上顎骨の眼窩面に位置する重要な解剖学的構造であり、眼窩下神経血管束が通過する経路として、臨床解剖学および外科的処置において極めて重要な意義を持ちます(Standring, 2020)。

J0053 (右上顎骨:外側からの図)

J0090 (右の眼窩:前方からの図)

J0091 (右の眼窩、アノテーション付き:前方からの図)

J0092 (右眼窩の側壁:左側からの図)

J0093 (右の眼窩の下部の壁、上方からの図)

J0094 (頭蓋骨の前頭断、後方からの図)
解剖学的特徴
位置と境界
- 眼窩下溝は上顎骨の眼窩面の後部に位置し、下眼窩裂の前縁から始まります(Moore et al., 2018)。
- 上顎骨の眼窩面と側頭下面の接合部に沿って走行し、下眼窩裂の下縁を形成します(Standring, 2020)。
- 溝の深さは個体差がありますが、通常2-3mm程度で、幅は3-5mm程度です(Dutton, 2011)。
走行と形態
- 眼窩下溝は下眼窩裂から前方に向かって走行し、眼窩底の中央部を通過します(Netter, 2019)。
- 前方に進むにつれて、溝は徐々に深くなり、骨性の屋根により覆われて眼窩下管(canalis infraorbitalis)へと移行します(Sinnatamby, 2021)。
- 溝から管への移行点は個体差がありますが、通常は眼窩底の中央部より前方に位置します(Standring, 2020)。
- 眼窩下管は前方に向かって走行し、最終的に眼窩下孔(foramen infraorbitale)として顔面に開口します(Drake et al., 2019)。
内容物と構造
- 眼窩下溝には眼窩下神経(nervus infraorbitalis)と眼窩下動脈(arteria infraorbitalis)が通過し、これらは神経血管束として一体となって走行します(Moore et al., 2018)。
- 眼窩下神経は上顎神経(三叉神経第2枝、V2)の直接的な延長であり、翼口蓋窩から下眼窩裂を通過して眼窩下溝に入ります(Standring, 2020)。
- 眼窩下動脈は顎動脈(arteria maxillaris)の終枝の一つで、神経に伴走して同じ経路を通過します(Netter, 2019)。
- 溝の底部は薄い骨組織で形成され、その下方には上顎洞の天蓋が位置します(Dutton, 2011)。
周辺構造との関係
- 後方では翼口蓋窩(fossa pterygopalatina)に連続し、下眼窩裂を介して交通します(Moore et al., 2018)。