後涙嚢稜 Crista lacrimalis posterior

J0047 (右の涙骨:外側からの図)
J0048 (右の涙骨:内側からの図)
解剖学的特徴
後涙嚢稜は涙骨の外側面(眼窩面)に位置する垂直方向の骨隆起であり、涙嚢窩の後縁を形成する重要な解剖学的構造です(Standring, 2020)。
位置と構造
- 位置:眼窩内側壁の前部、涙骨の外側面に存在
- 形態:垂直方向に走る明瞭な骨稜で、前涙嚢稜(上顎骨前頭突起上)よりもやや低く、鈍い
- 境界形成:涙嚢窩(Fossa sacci lacrimalis)の後方境界を構成
- 連続性:上方は眼窩縁に向かい、下方は鼻涙管の骨性壁へと続く
解剖学的関係
- 涙嚢との関係:涙嚢は前涙嚢稜と後涙嚢稜の間の涙嚢窩に位置し、後涙嚢稜は涙嚢の後方支持構造として機能(Paulsen & Waschke, 2017)
- 筋付着部:眼輪筋涙嚢部(pars lacrimalis musculi orbicularis oculi, Horner筋)の一部が後涙嚢稜に付着
- 靭帯付着:内眼角靭帯の深部線維が後涙嚢稜に付着することがある
- 周辺構造:後方には篩骨蜂巣、内側には中鼻道、前方には涙嚢が位置
機能的意義
- 涙嚢の支持:涙嚢を適切な位置に保持し、涙液排出機構の解剖学的基盤を提供
- 涙液ポンプ機構:眼輪筋涙嚢部の収縮により、涙嚢が拡張・圧縮され、涙液が鼻涙管へ送られる際の支点として機能
- 骨性保護:涙嚢を外傷から保護する骨性の囲いの一部を形成