外耳孔は、外耳道の入口部分を指し、側頭骨の鱗部と岩様部の境界に位置する重要な解剖学的構造です。音波の伝達において最初の入口として機能し、臨床的にも診断・治療における基準点として重要な役割を果たしています。以下に解剖学的特徴と臨床的意義について詳述します(Standring, 2020)。


J0357 (頭蓋骨:右左方向からのX線像、軸線は右の外耳道の少し上から入ります)


外耳孔は側頭骨の外側面に位置し、耳介(耳たぶ)と外耳道の境界部を形成しています。具体的には、側頭骨の鱗部(squamous part)と錐体部(petrous part)の接合部近傍に存在し、顎関節の後方約1cmに位置します(Drake et al., 2019)。
外耳孔の開口部は楕円形を呈し、その長軸は前上方から後下方に向かって配置されています。この配置により、外耳道は前下内方に向かって走行し、鼓膜に到達します(Moore et al., 2018)。
外耳道は外耳孔から鼓膜まで続く管状構造であり、外側3分の1は軟骨性外耳道、内側3分の2は骨性外耳道で構成されています(Netter, 2019)。
成人における外耳道の寸法は以下の通りです:
外耳道は前下内方に向かって走行し、途中でS字状に湾曲しています。この湾曲により、外耳孔から直線的に鼓膜を観察することはできず、耳鏡検査時には耳介を後上方に牽引して外耳道を直線化する必要があります(Netter, 2019)。
外耳孔および外耳道の血液供給は以下の動脈から行われます: