大翼(蝶形骨の)Ala major

蝶形骨の大翼は、蝶形骨体の後部外側から前外側へと翼状に広がる、重要な骨構造です(Gray and Lewis, 2018)。発生学的には軟骨性に形成され、頭蓋底の重要な構成要素となります(Standring, 2020)。

解剖学的特徴

形態と位置

蝶形骨大翼は蝶形骨体部から側方に伸びる広い翼状構造で、頭蓋底の形成に重要な役割を果たします(Moore et al., 2018)。成人の蝶形骨大翼は、平均して前後径約4.5cm、内外径約3.5cmの大きさを持ちます(Singh, 2019)。

主要な面

神経血管孔

周囲骨との結合

発生学

蝶形骨大翼は胎生期の軟骨性頭蓋から発生し、胎生8週頃から軟骨内骨化が始まります(Gasser, 2021)。完全な骨化は出生後も継続し、思春期頃までに完了します(Sperber and Sperber, 2020)。

臨床的意義

大翼の損傷や骨折は、以下の重要な臨床症状を引き起こす可能性があります(Snell, 2021):

また、大翼は画像診断(CT、MRI)において重要なランドマークとなり、頭蓋底手術のアプローチにおいても重要な指標となります(Osborn, 2018)。最近の研究では、蝶形骨大翼の形態計測が法医学的年齢推定や性別判定に有用であることが示されています(Buikstra and Ubelaker, 2022)。