後頭骨 Os occipitale
後頭骨は、脳頭蓋の後下部に位置する単一の骨で、頭蓋の脊椎上端を形成します。脳を保護し、脊髄との連続性を確保する解剖学的に重要な構造です (Gray, 2020)。

J0020 (後頭骨:前方からの図)

J0021 (後頭骨:後下方からの図)

J0022 (後頭骨:右側からの図)

J0099 (18cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0100 (12cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0101 (14 cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J0295 (頭蓋骨と頚椎の靭帯:右側からの図)

J0296 (後頭骨と第1から第3の頚椎は、前方から見ると靱帯と結合する)

J0297 (後頭部、環椎、軸椎とその靱帯:後方からの図)

J0299 (後頭骨、第1および第2頚椎とその靭帯(第3層):後方からの図)

J0300 (後頭骨、最初と二番目の頚椎(第4層):後方からの図)

J0301 (後頭骨および第1から第3の頚椎、靱帯(第二層):後方からの図)

J0302 (後頭骨と最初から三番目までの頚椎を含む正中矢状断とそのリング状の組織:左方からの若干図式化された図)
解剖学的特徴
- 大後頭孔(Foramen magnum)が前方にあり、底部(基底部)、両側の外側部、後方の後頭鱗の4つの部位(発生学的には)に分けられます (Standring, 2021)。この孔を通じて脊髄が頭蓋内に入り、延髄に連続します。
- 形状は舟状で、内面は凹み(脳の後頭葉を収容)、外面は膨らんでいます。外面には多くの筋肉(僧帽筋、頭板状筋など)の付着部があります (Moore et al., 2018)。
- 周囲の骨との関連:蝶形骨体と前方で蝶後頭軟骨結合を形成、側頭骨の岩様部と外方で岩後頭裂を介して接続、そして頭頂骨と上方でラムダ縫合を形成します (Drake et al., 2019)。
- 発生学的に胎児期後半に4つの部分(底部、後頭鱗、2つの外側部)に分かれ、生後3~4年後に完全に結合して単一の骨になります (Sadler, 2019)。この結合不全は稀に後頭骨の奇形として見られます。
主要構造
後頭骨には以下の重要な解剖学的構造が含まれています (Netter, 2018):
- 上矢状洞溝(Sulcus sinus sagittalis superioris):上矢状静脈洞を収容する溝
- 横洞溝(Sulcus sinus transversi):横静脈洞を収容する溝
- 後頭顆(Condylus occipitalis):第一頸椎(環椎)との関節を形成
- 舌下神経管(Canalis hypoglossi):舌下神経(第XII脳神経)の通路
- 外後頭隆起(Protuberantia occipitalis externa):項靱帯の付着部
- 頸静脈切痕(Incisura jugularis):内頸静脈の通過路
臨床的意義:詳細な疾患・病態解説
1. 頭蓋底骨折と後頭骨損傷
後頭骨は頭蓋底骨折の好発部位の一つで、高エネルギー外傷(交通事故、高所からの転落など)により発生します。特に後頭蓋窩骨折は重篤な合併症を伴う可能性があります (Greenberg, 2020)。
主な臨床所見と合併症: