前頭洞 Sinus frontalis
前頭洞は、頭蓋骨の前頭骨内に存在する含気性の副鼻腔の一つです。左右一対の空洞として前頭骨の垂直部内に形成され、鼻腔および他の副鼻腔とともに呼吸器系の重要な構成要素となっています(Gray, 2020; Standring, 2021)。

J0087 (左側からの頭蓋骨の正中断図)

J0089 (右の翼口蓋窩、外側からの図)

J0092 (右眼窩の側壁:左側からの図)

J0093 (右の眼窩の下部の壁、上方からの図)

J0095 (鼻腔の右側壁:左方からの図)

J0096 (鼻腔の右側壁:左方からの図)

J0097 (左方からの鼻腔、骨性鼻中隔)

J0355 (頭蓋骨:後頭前頭方向からのX線像)

J0357 (頭蓋骨:右左方向からのX線像、軸線は右の外耳道の少し上から入ります)

J0408 (右眼瞼の筋:背方からの図)

J0640 (頭部の前頭断、後方からの図)

J0998 (右眼窩の内容物:上方からの図)

J0999 (右眼の筋:上方からの図)

J1001 (右眼窩の内容物:右方からの図)

J1070 (粘膜なしの鼻中隔:左方からの図)

J1071 (鼻中隔と粘膜:左方からの図)

J1072 (鼻腔の右壁と粘膜:左側からの図)

J1073 (中鼻甲介と下鼻甲介を除去した後の鼻腔の右壁と粘膜:左方からの図)
解剖学的特徴
位置と構造
- 前頭洞は眉間(glabella)の後方、前頭骨の内板と外板の間に左右対称に位置しています。両側の前頭洞は中央の骨性中隔(septum)によって隔てられており、この中隔はしばしば正中線から偏位しています(Miaskiewicz et al., 2019)。
- 上方は前頭骨の内板によって前頭蓋窩と境界し、下方は眼窩上壁を形成し、後方は篩骨蜂巣と接しています。この解剖学的位置関係により、前頭洞の病変は眼窩や頭蓋内へ波及する可能性があります(DelGaudio et al., 2019)。
大きさと形態
- 前頭洞の大きさには著しい個人差があります。平均的な寸法は、高さ約28-32mm、幅約24-28mm、前後径約18-22mmとされていますが、片側または両側の無形成(欠損)から著明な過形成まで、様々な変異が存在します(Kim et al., 2018)。
- 形態も多様で、単一の空洞から複数の小房に分かれた構造まで認められます。約5-10%の人では片側または両側の前頭洞が欠如しています(Scuderi et al., 2019)。
発達
- 前頭洞は出生時には存在せず、前頭陥凹(frontal recess)の前篩骨蜂巣から発生します。通常2-3歳頃から前頭骨への気胞化(pneumatization)が始まり、6-7歳頃にX線で確認可能となります(Scuderi et al., 2019)。
- 前頭洞は思春期頃まで拡大を続け、成人期初期に最終的な大きさに達します。この発達過程は個人差が大きく、遺伝的要因や環境要因の影響を受けます(Standring, 2021)。
排泄経路
- 前頭洞は前頭陥凹(frontal recess)を経て、篩骨漏斗(infundibulum ethmoidale)または前篩骨蜂巣を介して中鼻道(middle meatus)に開口しています(Stammberger and Kennedy, 2016)。
- この排泄経路は複雑で狭小であり、解剖学的変異も多く認められます。前頭陥凹の形態は、前頭洞の排泄機能に大きく影響し、その閉塞は前頭洞炎の原因となります(Wormald et al., 2021)。
粘膜構造
- 前頭洞の内面は呼吸上皮(偽重層線毛円柱上皮)で覆われており、粘液を産生する杯細胞が分散しています(Hamilos, 2017)。
- 線毛は協調的に運動し、粘液を前頭陥凹方向へ移送します。この粘液線毛クリアランス機能により、前頭洞内の異物や病原体が排除されます。この機能の障害は慢性副鼻腔炎の病態に関与します(Fokkens et al., 2020)。
血管支配