上矢状洞溝(前頭骨の)Sulcus sinus sagittalis superioris
前頭骨の上矢状洞溝は解剖学的に重要な構造であり、以下のように詳細に定義されます(Gray and Lewis, 2020):
- 頭頂骨間を走る正中線上の同名の溝の前方延長部分として、前頭骨の内面に位置します。
- 下方(前方)に進むにつれて徐々に狭小化し、鶏冠に連続します。
- 硬膜静脈洞である上矢状静脈洞を収容する溝であり、脳からの静脈血を集める重要な排出路となります(Moore et al., 2022)。
- この溝の両側には顆粒窩が存在し、クモ膜顆粒を収容しています。

J0036 (前頭骨:後方からの図)

J0083 (頭蓋骨:内側からの図)
解剖学的特徴
この構造は前頭骨の後方内面の正中線上に位置し、頭蓋内側面から観察できます(Standring, 2021)。前頭骨の内側面正中部を走行し、矢状縫合に沿って後方へ連続します。
発生学的背景
胎生期において、硬膜静脈洞の発達と共に形成され、頭蓋骨の成長に伴って明瞭化します(Sadler, 2019)。
臨床的意義
- 頭部外傷、特に前頭骨骨折の際には上矢状静脈洞の損傷リスクがあり、硬膜外・硬膜下出血の原因となりうります(Greenberg, 2023)。
- 脳神経外科手術において重要なランドマークとなり、正中線アプローチの際に考慮すべき構造です。
- 静脈洞血栓症などの病態では、この部位の閉塞が頭蓋内圧亢進や神経学的症状を引き起こす可能性があります(Schünke et al., 2018)。
画像診断
MRIやCTスキャンにおいて同定可能であり、特にMR静脈造影(MRV)では上矢状静脈洞の走行が明瞭に描出されます(Osborn, 2024)。
この構造は前頭骨の後方に位置し、頭蓋冠の正中線に沿って走行しています。
参考文献
- Gray, H. and Lewis, W.H. (2020) Gray's Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice. 42nd edn. London: Elsevier. ― 臨床医学の基盤となる解剖学的構造を詳細に解説した標準的教科書。前頭骨の内面構造と上矢状洞溝の解剖学的特徴について包括的に記述されています。