内面(前頭骨の)Facies interna

J0036 (前頭骨:後方からの図)

J0357 (頭蓋骨:右左方向からのX線像、軸線は右の外耳道の少し上から入ります)
解剖学的構造
前頭骨の内面(Facies interna)は、頭蓋腔の前部を形成する重要な解剖学的構造である。この面は脳側に向かう凹面を呈し、前頭葉を直接収容している(Standring, 2023)。
全体的形状と配置
- 形状:後方に向かって凹んだ湾曲面で、大脳前頭葉の外形に適合する。この凹面は前頭葉の解剖学的形態を忠実に反映している(Gray and Williams, 2020)。
- 範囲:前方は前頭鱗(squama frontalis)の内面から、後方は前頭骨と頭頂骨の縫合線(冠状縫合)まで延びる(Moore et al., 2021)。
- 左右対称性:正中矢状面を挟んで左右対称に配置され、両側の前頭葉を収容する(Netter, 2022)。
表面の微細構造
- 前頭隆起(Juga cerebralia):脳回(gyri)に対応する隆起が内面に形成され、脳の前頭葉の皮質構造の印象が骨表面に残されている。これらの隆起は個人差があり、脳の発達程度を反映する(Netter, 2022)。
- 脳溝の印象(Impressiones digitatae):脳溝(sulci)に対応する浅い溝が骨表面に認められ、脳と頭蓋骨の密接な関係を示している(Drake et al., 2019)。
- 顆粒窩(Foveolae granulares):クモ膜顆粒(arachnoid granulations)の圧迫によって形成される小さな窪みで、特に矢状溝の周囲に多く見られる。これらは脳脊髄液の再吸収に関与する構造の痕跡である(Standring, 2023)。
正中部の構造
- 鶏冠(Crista galli)との関係:前頭骨内面の前下部は篩骨の鶏冠と連結し、大脳鎌(falx cerebri)の前方付着部を形成する。この構造により左右の大脳半球が分離される(Gray and Williams, 2020)。
- 篩板(Lamina cribrosa):鶏冠の両側に位置し、嗅神経(第I脳神経)の嗅糸(fila olfactoria)が多数通過する。前頭骨は篩板の上縁と接し、嗅球(olfactory bulb)を収容する嗅窩(olfactory fossa)の一部を形成する(Standring, 2023)。
- 盲孔(Foramen caecum):前頭骨と篩骨が接合する部位に認められる小孔で、胎生期の前頭導出静脈(frontal emissary vein)の痕跡である。通常は閉鎖しているが、まれに静脈が通過することがある(Moore et al., 2021)。
矢状溝(Sulcus sinus sagittalis superior)
- 位置と走行:内面の正中線上を後方に向かって走る明瞭な溝で、上矢状静脈洞(superior sagittal sinus)を収容する。前方では浅く、後方に向かうにつれて深く幅広くなる(Drake et al., 2019)。
- 静脈洞の機能:上矢状静脈洞は脳静脈血の主要な排出路であり、大脳鎌の上縁に沿って走行する。前頭骨内面の矢状溝はこの静脈洞の前方部分を収容している(Standring, 2023)。
- 側方の顆粒窩:矢状溝の両側にはクモ膜顆粒による顆粒窩が密に分布し、脳脊髄液が静脈系へ再吸収される部位を示している(Netter, 2022)。