前頭骨 Os frontale
前頭骨は、頭蓋骨の前部を形成する単一の扁平骨で、脳の前頭葉を保護し、顔面頭蓋と脳頭蓋の境界を形成する重要な骨です(Gray et al., 2020)。前頭骨は額部、眼窩上部、前頭洞を含み、解剖学的および臨床的に多くの重要な特徴を持っています。

J0035 (前頭骨:前方からの図)

J0036 (前頭骨:後方からの図)

J0037 (前頭骨:下方からの図)

J0044 (篩骨、垂直板:左方からの図)

J0098 (14cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0099 (18cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0100 (12cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0101 (14 cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J0102 (19cm長(5ヶ月の初め)胎児の内頭蓋底)

J0103 (28cm長(6ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J0110 (約4ヶ月胎児の前頭骨:前方からの図)

J1000 (右眼窩の内容物:前方からの図)

J1012 (右の眼窩隔膜:前方からの図)

J1068 (自由に剖出された外側の鼻の軟骨:右前方からの図)
解剖学的特徴
発生学的特徴
前頭骨は膜性骨化により形成されます。胎生期には左右2つの前頭骨片(半側前頭骨)として発生し、正中線上に前頭縫合(sutura frontalis)または化縫合(sutura metopica)を形成しています(Sadler, 2019)。この前頭縫合は、生後2年頃までに下方から上方へと癒合し、単一の前頭骨となります。
しかし、約8%の成人では前頭縫合が完全に癒合せず、持続性前頭縫合(sutura metopica persistens)として残存します(Shapiro and Robinson, 2019)。この変異は病的意義を持ちませんが、頭蓋X線写真やCT画像で骨折線と誤認される可能性があるため、臨床的に重要です。
解剖学的位置と境界
前頭骨は頭蓋骨の前上部に位置し、以下の骨と接しています(Moore et al., 2018):
- 上方:左右の頭頂骨と冠状縫合(sutura coronalis)を形成
- 下外側:左右の蝶形骨大翼と蝶形骨前頭縫合(sutura sphenofrontalis)を形成
- 下内側:篩骨と篩骨前頭縫合(sutura frontoethmoidalis)を形成
- 下前方:鼻骨、上顎骨、涙骨、頬骨と接する
解剖学的構造
前頭鱗部(Squama frontalis)
前頭鱗部は前頭骨の主要部分で、額を形成する垂直な骨板です(Standring, 2021)。
外面(前面)
- 前頭結節(tuber frontale):眉弓の上方、正中線から約3cm外側に位置する滑らかな隆起で、膜性骨化の初期中心を示します。
- 眉弓(arcus superciliaris):眼窩上縁の上方にある弓状の隆起で、前頭洞の存在を反映しています。男性でより顕著です。
- 眉間(glabella):左右の眉弓の間の滑らかな隆起で、前頭洞が最も発達している部分です。