頭頂孔 Foramen parietale
頭頂孔は、頭頂骨の上縁後方に位置する小さな孔であり、解剖学的および臨床的に重要な構造です。この孔は通常、矢状縫合から約3.5cm外側に位置し、頭蓋冠の後部3分の1に見られます(Gray and Lewis, 2000)。頭頂孔の存在とその形態は個体差が大きく、人種間でも出現頻度に違いが認められるため、臨床診断や手術計画において注意が必要です。

J0038 (右の頭頂骨:外側からの図)

J0082 (頭蓋骨:上方からの図)
解剖学的構造
位置と形態
- 頭頂孔は頭頂骨の上縁後方、矢状縫合の外側約3.5cmに位置し、頭蓋冠の後部3分の1の領域に存在します
- 孔の大きさは約0.5〜2mm程度で、個人によって著しく異なり、完全に欠如する場合もあります(Boyd, 1930)
- 通常は左右対称的に存在しますが、非対称性を示す個体も少なくありません
通過する構造物
- 頭頂導出静脈(v. emissaria parietalis):頭頂孔の主要な通過構造であり、頭蓋内外の静脈系を連結する重要な血管です(Williams et al., 1995)
- この導出静脈は、頭皮の静脈系から上矢状静脈洞(sinus sagittalis superior)へと連絡し、頭蓋内外の静脈血流調節に重要な役割を果たします(Standring, 2015)
- 導出静脈に加えて、小さな動脈枝や神経枝も通過することがあり、これらは頭蓋骨の栄養や感覚伝達に関与します(Wysocki et al., 2006)
- 頭頂導出静脈は弁を持たないため、血流は双方向性であり、頭蓋内外の圧力勾配に応じて流れの方向が変化します
日本人における形態学的特徴
平田(2000)による日本人の頭蓋骨における頭頂孔の詳細な研究により、以下の形態学的特徴が明らかになっています:
- 出現頻度:左右に1つずつある形態が最も一般的で、全体の49.4%を占めます
- 対称性:左右対称的に存在する個体は53.5%、非対称は29.3%、完全に欠如しているのは17.2%です
- 数的変異:1つの頭蓋骨に最大4つの孔が存在することがあり、副孔の存在も認められます
- 大きさの変異:孔の直径は0.5mmから2mm以上まで幅広い変異を示します
これらの形態学的変異は、遺伝的要因と環境要因の両方によって影響を受けると考えられています。