後頭角(頭頂骨の)Angulus occipitalis (Ossis parietalis)

J0038 (右の頭頂骨:外側からの図)

J0039 (右の頭頂骨:内側からの図)
解剖学的定義
頭頂骨の後頭角は、頭頂骨の4つの角の1つであり、以下の解剖学的特徴を持ちます(Standring, 2020):
- 頭頂骨の後下部に位置し、後頭骨と接する部分を形成
- 鈍角(obtuse angle)を呈する角度構造
- ラムダ縫合(lambdoid suture)と矢状縫合(sagittal suture)の交点であるラムダ点(lambda)の近傍に位置
- 頭頂骨の後頭縁(margo occipitalis)の下端を構成
解剖学的関係
後頭角は以下の構造と密接に関連しています(Moore et al., 2017):
- 縫合との関係:後頭角はラムダ縫合を形成する重要な構成要素であり、左右の頭頂骨と後頭骨の3骨が会合する点の近くに位置します
- 内側面:頭頂骨内面において、後頭角の近傍には横静脈洞溝(groove for transverse sinus)の一部が走行し、静脈血の排出路と関連します
- 外側面:外板面では頭蓋冠後部の丸みを形成し、頭部の外形に寄与します
- 骨膜と筋付着:後頭角の外面には後頭筋や側頭筋の腱膜が付着する領域に近接しています
発生学的意義
胎生期において、後頭角の領域は膜性骨化により形成されます(Sadler, 2018)。出生時には後側頭泉門(posterolateral fontanelle, mastoid fontanelle)が後頭角の近傍に存在し、生後数ヶ月で閉鎖します。この泉門は頭頂骨、後頭骨、側頭骨の3骨が会合する部位であり、後頭角の発達と密接に関連しています。
臨床的意義
後頭角は以下の臨床場面で重要な意味を持ちます:
- 頭蓋骨形態異常(Kabbani & Raghuveer, 2004):
- 斜頭症(plagiocephaly)や短頭症(brachycephaly)などの頭蓋変形において、後頭角の位置や形状が変化します
- 頭蓋縫合早期癒合症では、ラムダ縫合の早期閉鎖により後頭角の形態異常が生じることがあります
- 外傷(Greenberg, 2019):
- 後頭部打撲や転倒時に、後頭角を含む頭頂骨後部の骨折が発生する可能性があります
- 線状骨折がラムダ縫合に沿って進展することがあり、CTやX線検査での評価が重要です
- 特に小児では、後側頭泉門が閉鎖する前の時期は脆弱性が高くなります